怪しいTV欄

2019.7/28

選挙特番に「池上症候群」?

 参院選が終わりました。

 となれば本欄では、選挙特番を振り返るのが恒例です。しかし今回はいよいよ困惑しています。

 なにしろ各局、見事に消化試合でした。選挙特番のPRからして少なく。今度の選挙特番は誰が仕切るかが、記事になっていた時期もあったのに。そして今思えば、あれらのPRや記事は「今、選挙期間中ですよ」のお知らせとしても機能していました。

 選挙があると知らない人も多かった、という調査結果も出ているからです。実際、ニュースや情報番組でも、選挙を扱うことが少なくなったと私も感じています。

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 政府の希望に沿ってそうなったという声もネットや一部スポーツ紙などでありますが、テレビの作り手として私が想像するのは、池上症候群とでも名付けたい傾向です。

 2010年の選挙から始まった、池上彰率いる選挙特番。もともとは、スター的なキャスターを持たないため、選挙特番の「顔」も持ち得なかったテレビ東京が、他局に先んじてニュース特番などに登場させてきた池上彰を担ぎ出してのチャレンジ企画でした。今や参院衆院そして都知事選まで網羅して、他局を圧倒する状況に。ネットでは、各党の大物などとの中継でのやりとりを面白がり、「池上無双」なる言葉も出回るように。

 その特徴は池上ならではの「教える」目線と、もうひとつ。前回の衆院選の際、本欄でこう書きました。「他局も真似(まね)しだした、キャッチコピーのような候補者プロフィル、覇権争いを戯画化し立体化したセットなど。回数を重ねるうち、当初は面白かったはずの企画から、その背後にある、候補者や政党を見下ろす目線がいよいよあらわになってきた」。冷笑の目線です。

 それがウケてるのなら、と追随するのがテレビの性(さが)。からかう、ちゃかす目線の企画が、他局の選挙特番にも増えました。女性候補のファッションチェックのような企画、面白くはなかったですが。

 そして、池上無双とまで言われるのは、「私はわかってましたよ」と問題点を捉えて当該人物に鋭く迫ってみせるさまが痛快に見えるからですが、それは普段は報道番組を持たず、選挙の時だけ登板する池上だからこそ、とれる立場。各局が池上特番をあれこれ真似るようになってきたなら必然、この立場も真似るようになる。だとすれば、投票前には選挙なんか扱わないほうがいい。「実は」と選挙特番で言えたほうが、得だから。

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 池上選挙特番に勝ちたいなら欠点を捉えればいいのに、残念なことです。では欠点はどこでしょうか。これまた本欄で指摘済みですが、「女子アナや女性アイドルで構成される、白っぽい服を着た生徒たちが池上先生の解説を聞く、という構図」。女性が子ども扱いされている。

 しかし実際は、その欠点に気づく様子もなく、それどころか、池上特番のキャッチコピーを真似たつもりか、女性候補について「美人すぎる」などと容姿の評価を言い加える番組が多く、年齢への言及も目立ちました。なぜ好んで、女性視聴者の不興を買いにいくのか。選挙特番への疑問は尽きません。