怪しいTV欄

2020.10/23

技能実習制度 得するのは誰?

 アセアン、と原稿にカナがふってあったのでしょう。菅総理がASEANをアルゼンチンと読み間違えたことが話題になった、初の外遊。最初の訪問国は、コロナの市中感染が1カ月以上確認されていないベトナムでした。

 関係を深めて中国包囲網、なんて勇ましいもくろみが報道されていますがそれよりは、日々コンビニでお見かけするベトナム出身の店員さんが自由に帰国できるようになるのはいつかということのほうが、気になります。生活の場で、ベトナムの人と接する機会は増えました。その多くは、都市部なら店員さんとして、農業地域や工場周辺では働き手として。

 「働き手」と軽率に書いてしまいましたが、そう私たちが認識しがちな人たちには少なからず「技能実習生」が含まれ、彼らはただ働きに来ているのではなく、働くことを学びに来て、習得した技能と収入を持ち帰ろうとする人たちです。しかしこう書いてみて、私自身もしらじらしいと感じるほど、「実習生」とは名ばかりで、実際は単なる働き手であり、「安価な労働力」であると広く知られています。

 「名ばかり」なことが最近あまりにもたくさんあるので、私たちは慣れてしまったのかもしれません。けれど、プレミアムフライデーと技能実習生とでは、話が違う。実際に制度の被害を受ける人がいるのですから。
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 NHKEテレで放送された「ETV特集調査ドキュメント~外国人技能実習制度を追う~」を見ました。

 最大の送り出し国ベトナムからやってきた、10人の技能実習生を取材。番組は、支援者を通じて助けを求めてきた彼らと出会いました。

 服の縫製を習得しに来たのに、婦人服と子供服の縫製を学ばせるという「実習計画」を監理団体に提出して彼らを受け入れた縫製工場では、ひたすらタオルを作らされる。1日15時間の労働。日本語を学ばせるという「計画」も、実行されませんでした。二段ベッドを並べた部屋での集団生活で、手取り11万円の給与から家賃と水道光熱費として3万円が天引きされています。

 わかってくるのは、労働力が提供されるならそこに金が動くに決まっているのに、学習が行われるならそこにもまた当然金が動くのに、「国際貢献」という聞こえのいいお題目だけを唱えてよしとする、厚生労働省のいびつなあり方です。

 貧しい生活から抜け出す方法を求めて「技能実習生」を志した人々は、母国ベトナムの送り出し機関に、世帯年収の4倍近い借金をして多額のお金を支払うのだそうです。送り出し機関は民間企業で、400社以上もあるとか。彼らは希望者を半年ほど教育し、日本の監理団体へ手数料を支払って、送り出します。手数料を受け取るこの監理団体も、非営利ですが民間です。

 制度にかかわってきた官僚は取材に、安価に労働力が得られるこの制度を「人的補助金」と形容しました。行政の金は使わず民間に丸投げし、必然的に発生する人買いじみた金のやりとりは「起きてしまった困ったこと」としつつ、「人的補助金」を施すことができる。得をしているのは、誰でしょうか。

 間で不当に儲(もう)ける人をつくらないように、制度を整える、慎重に運営する。それはとても大事な仕事のはずなんですが。