怪しいTV欄

2021.5/21

若い女性の貧困とパパ活

 「こんなに多様な人たちが炊き出しの列に並ぶのは見たことが無い」。生活困窮者の支援を続けている稲葉剛さんの証言です。TBSの「報道特集」で放送された特集「緊急事態宣言下の連休 職や居場所を失った人は...」。食品工場で派遣切りにあった、警備の仕事を解雇され寮からも追われた、そんな中高年の男性たちばかりでなく、もちろん女性の姿も多く。

 受付でボランティアに間違われてしまった女性は、バイトにあぶれ、大学の学費に窮していました。10代の女性が炊き出しに並ぶ、という重い現実。

 珍しい一例と言えないことは、関わっている番組を通しても感じます。ここ数年のうちに上京してきた20代の女性たちのその後を取材すると、職も住まいも失った、という声があがってくる。コロナ禍で派遣やバイトの収入が減ると、ギリギリやりくりしていた家賃を捻出できず、住まいを失うまではあっという間。

 住民票などは実家に置いている人も多いでしょうし、一時的に友人知人の家で生活したりしていると、数字としては把握しづらい現象でもあります。

 NHKの「ストーリーズ」枠で放送された「シュガーデート」。女性が金銭を得るために、男性と食事やデート、もしくはそれにおさまらない交際を行う「パパ活」について取材したドキュメンタリーでしたが、背景には若い女性の貧困が。

 男性との窓口に使われるのはSNSで、かつての「援助交際」から名前が変わり、「パパ活」には妙な軽さがあります。友だちとの付き合いのためお金が欲しくてという動機も一見、「援助交際」時代と変わりないようですが、裕福な家に生まれた友だちと同じように振る舞うためという説明、格差の存在が見える。

 男性との間には、多くの場合、業者が存在します。担当者は面接で、「ファーストデートから、お茶や食事以上のお付き合いもできますか」などと質問。応じられる付き合いの程度がランクづけされます。男性はそのランクや写真などから、女性を選ぶ。

「大人」は性行為を表すパパ活用語のようです。20歳の大学生は親からの仕送りが途絶えたことをきっかけにパパ活を始めて、「大人」で1回5万、2カ月で130万円を得たと語ります。

 30代で2児の母でもある専業主婦は、コロナ禍で自営業の夫の収入が減少、貯金で家族の食費など生活費に対応しきれない状況でパパ活に。継続して会っている相手には、「支えてほしい」という思いがあるとも。

 50代男性は、若い女の子とお金を払って遊ぼうとする自分を「クズ」と言いながら、お金を出すことで「女の子の夢の一部(をかなえること)になっている」と話します。

 ここに出てくる「男性」は私に言わせれば、客です。でも風俗を利用する時のように客という自覚を明確にせず、あわよくば善行の味まで舐(な)めようとしている。

 もっとお金を稼ぎたい女の子を「育成」して交際クラブに紹介して稼ぎをあげる、「パパ活プロデューサー」まで出没する現状を招いているのは、若い女性の貧しさです。その貧しさは、パパ活利用客にとっても自明。

 世間が見ないふりを続けられる時間は、もう残っていないはずです。