怪しいTV欄

2021.6/18

無意識の差別意識 どう変えるか

 クラスを肌の色でグループ分けする。ギョッとするそんな授業を、NHKEテレの「ドキュランドへようこそ」枠で視聴しました。

 英国で制作された「人種差別をなくす実験授業」は、ロンドン南部の中学校で行われた、3週間の授業のドキュメント。半数弱を黒人など人種的マイノリティーの生徒が占める同校の、11歳のクラスでのことです。

 まずは、タブレットを使ったテストを。画面に出た肯定的な単語を白人のイラストの側に、否定的な単語を黒人の側に振り分ける。逆も行い、その速度や精度から隠れた人種的偏見を測定するという。結果、クラスの大半が白人を好意的に捉えていることが明らかに。そんな偏見を持っているなんて「間違っているから」「後ろめたい」と悲しむヘンリー君を筆頭に、生徒たちは強くショックを受けます。

 続いては、自分を白人だと思う人、それ以外の人種だと思う人の2組に分かれます。父親がスリランカ人、母親が白人のファラさんは、どちらに行くか迷いましたが、「ここに残りなよ」と言われ、マイノリティー組へ。

 ヘンリー君は白人組で、隣の組から聞こえてくるにぎやかな声に、「僕らがいないからかな」。彼らを、初めての疎外感、気まずさが支配します。お祭り騒ぎだったマイノリティー組と合流すると、ヘンリー君は「うらやましかった」と泣きだしてしまいました。

 差別を引きずり出している、子どもに差別なんてわざわざ知らせなくていい、と見る人は多いでしょう。米国では、それまで広まっていた「カラー・ブラインドネス」、肌の色での違いはないのだとする教えが、実は他の人種の存在を無視していて差別の問題を少しも解決しない、と見直される経緯があって、この授業が生まれました。英国にも、と導入を試みた校長は「無意識の人種的偏見について教育しなければ、真の共生社会は実現しない」と言います。しかし日本では、寝た子を起こすな、無意識の偏見など無意識のまま触らなければいい、と考える人が多数派ではないでしょうか。

 2組に分かれての授業が続きます。マイノリティー組でファラさんは、白人の子に合わせると「自分を捨てるな」と非難される悩みを告白。また別の生徒は「この授業は僕らにとって復習だけど、白人の子は今まで話題にしないことだったから気まずいんだよね」と思いやります。

 2組が合流すると、戸惑っていた白人組からは「責められるのは白人ばかり」「人種の違う子と付き合わないと、レイシスト(人種差別主義者)だと言われてしまう」と率直な不満が語られるように。

 すると今度は、徒競走です。スタート位置は、先生の質問へのイエスの数だけ、前に1歩進めるルール。質問は「両親の母語が英語」「家族が職務質問されないかと心配した経験がない」などなど。結果、前方には白人組の生徒ばかり。不平等な競争が見える化され、「フェアじゃないのは社会も同じ」と黒人の生徒が鋭い指摘を。

 最後に再び、無意識の差別意識をテスト。差別には長い歴史がある、11年間も社会に刷り込まれてきたのに3週間で変わらない、と言っていた生徒もいましたが、果たして。希望を見いださずにはいられない結果でした。