怪しいTV欄

2021.10/22

修正積み重ね よりマシな方へ

 大統領選でも近年はずっと50%台。2018年の中間選挙で47%。
 日本の多くの人が、政治に関する発言が活発にやりとりされる社会だと思っているアメリカの投票率です。投票の仕組みが異なるとはいえ、低い。ちなみに日本を見てみると、19年の参議院選挙ですら48.80%。

 それゆえ、昨年の大統領選での66%という数字は大きなニュースになりました。なんと120年ぶりと言われる高い投票率。女性が選挙権を得たのが100年前だと考えると、なおさらの衝撃。

 アメリカで俳優やアーティストなど人気の有名人が投票の呼びかけ、特に大統領選の有権者登録を促す呼びかけを行うようになったのは、今回からではありません。低い投票率に危機感を感じて行動する人たちはずっといました。ただ今回については、支持政党や支持する候補者を明言せずに、投票そのものを呼びかける人が少なくなく。さらにネット上の有名人も含めて、ネットで呼びかける人が増えました。今までになくその声が大きくなり、今回は19歳のビリー・アイリッシュをはじめ若い有名人が多かったことも重要です。若者の投票率が上向いた結果に貢献していることは、間違いないはず。

 さて今週火曜日に、衆議院選挙が公示されました。

 14人の俳優やタレントなどの有名人が投票を呼びかける動画がYouTube(ユーチューブ)に公開されています。二階堂ふみさんが「これは広告でも政府の放送でもなく」、仲野太賀さんが「僕たちが僕たちの意思で作った映像です」、20代の俳優ふたりのそんな言葉から始まる3分半。本欄では、番組の出演者などの名前に敬称をつけることはありませんが、個人としての発言と考え、敬称を添えました。

 日本では前例のない企画ということで、テレビでも動画の一部が取り上げられています。華やかな顔ぶれです。俳優やタレントに、多少なりとも政治に触れる発言を期待するのはタブーだと思われてきて、それがどうしてタブーなのかを問うこともなくなっていたのがこの社会ですが、変化が始まるのかもしれません。

 やはり20代の菅田将暉さんは同世代の投票率について「そんなに少ないんだって驚いた」と言い、同じくコムアイさんは「その世代が軽んじられるということだから、政治で」と言葉を重ねます。若者の投票率が上向きはじめているというのはアメリカ以外の国でも見られる傾向で、日本が例外になってしまうのかどうか。

 せわしないスケジュールの今回の選挙で投票率が上がらなくても、まだ始まったばかりです。先回りをしますが、「外国のまねをしても日本ではうまくいかない」と拙速な評価が下されてしまうことがないよう願いたいものです。

 この動画で「誰に投票していいか」「誰を頼っていいか」という迷いが続けて口にされます。「いい」、つまり正解を求めると投票は難しくなってしまう。国政選挙は2年に1回くらいありますから、揺るぎない正解を提出する必要は、実はない。今わかることで答えを出して、また次の選挙で修正してもいい。修正の積み重ね、よりマシな方へ動き続けること、それが民主主義だと私は考えます。