広くて深い「おやき」の世界へようこそ

「おやき」ほど不思議な郷土食はありません。
なぜなら「具を粉で包んだもの」以外に、何の定義もないからです。
具は何でもあり。粉は小麦粉をメインにそば粉や米粉が入ることもあります。
もちろん、生地の食感は「おやき」ごとにばらばらです。

それは、「おやき」が家庭で作られていた日常食であり行事食だったから。
夏には旬のなすを包み、冬には漬かり過ぎた野沢菜漬けを塩抜きして炒め、お祝い事にはちょっと贅沢な小豆を使って。お母さんがおばあちゃんが、その日そこにあるもので作るので、正解のレシピはありません。
「おやき」は、作る人の数だけ種類があります。
使う食材は同じでも、出来上がる「おやき」は全く別物。
これが「おやき」の原点です。

ゆえに、一人ひとりが思っている「おやき」の姿や味はすべて違います。
これこそが、「おやき」の最大の魅力でありながら欠点。
多種多様なのに、その全貌を知ることはできないのですから。


家庭で作られてきた「おやき」は、今やどこでも買えるようになりました。
けれど残念なことに、求める食感になかなか巡り合えない信州人や、初めて口にした味と相性が合わなかった人も多くいるのが現実です。

あまりにも広くて深すぎる「おやき」の世界。
でも、その一端でも垣間見ることができたら楽しいと思いませんか?
おやきの本場である長野県の北信地域を中心に、南は中信の塩尻市、東は東信の東御市まで、全部で30店のおやき人気店を回りました。
「おやき」が大好きなあなた、「おやき」に興味津々なあなた。
どうぞ「おやき」の魅力を再発見してください。

ARCHIVE