門前農館 さんやそう―長野市大門町

野沢菜

幅7㎝x厚さ3㎝ 110g 野沢菜塩漬け・人参 (味噌、砂糖、醤油、油、粉末だし)

丸なす

幅8㎝x厚さ2㎝ 98g 丸ナス(味噌、砂糖、油、粉末だし)

きざみなす

幅7㎝x厚さ2.5㎝ 100g 丸ナス(味噌、砂糖、醤油、油、唐辛子、粉末だし)

あんかぼ

幅6.5㎝x厚さ3.5㎝ 105g 小豆粒あん、かぼちゃ(砂糖、塩)

 観光客で賑わう善光寺門前。お店に一歩入ると、"おばあちゃんの台所"かと見まごうばかりのホッとする空間が広がるのが「門前農館さんやそう」です。
 これまた年配のお母さんたちが「どこから来たの?」「しばらくぶりね、元気だった?」と、観光客や常連さんに気さくに話しかけて場を和ませます。自然と心が通い合う、そんな温かい場所を作り上げてきたのが代表の芳川智恵さんです。
 創業は2002年。芳川さんを含むJAながの女性部6人が有限会社「さんやそう」を立ち上げました。きっかけは善光寺近くで週1回開催されていた野菜市。自家野菜の直売をしながら仲良くなった6人が、おやき名人だった1人を囲んでおやき作りを学ぼうと「おやきクラブ」を結成したのが始まりです。毎日おやきや野菜を売りたいとの思いが高まったところへ、善光寺門前に店向きの古民家が見つかり、さっそく改築、改装をして開店にこぎつけました。
 開店当初、「バンバン売れるだろう」と期待していた6人の当ては見事に外れます。来る日も来る日も売れ残るおやき。JAや近隣の会社に売り歩くうちに「ここのおやきはおいしい」と口コミで広がり始め、ようやく「なんとかやっていけるかなって思えるようになった」と芳川さんは振り返ります。
 さんやそうのおやきの基本は地場野菜と自家製味噌の具と、中力の小麦粉にJAの配合粉を独自にブレンドした生地。微量の膨らし粉が入っているため冷めても硬くなりにくく、薄皮ながらもっちりとした噛み応えです。
 定番の具のほか、辛大根、ニラ、かぼちゃ、ポテトサラダなど常時11種類を販売。聞き馴染みのない「あんかぼ」「あんさつ」は小豆あんにかぼちゃやさつまいもを入れたおやきで、「創業時からおやきは野菜を入れるものというポリシーで、小豆あんにも野菜を入れてきた」のだそうです。季節限定として、のびろ、ふきのとう、みょうが、雪菜、りんご、煮卵などがあり、今もスタッフ全員で新しい味を開発中だとか。最近は一口サイズのおやき3個が入った「ミニおやきセット」が年配の方に好評で、人気商品になっています。
 現在のスタッフは50~70歳代の女性17人。シフト制の週3~4日勤務で常時8人ほどが働いています。皆さんに勤務年数を聞くと「う~ん、御開帳3回経験したかしら」「わたしは2回かな」との答え。さすが善光寺のお膝元です。創業時のメンバーは芳川さんひとりですが、10年以上勤務のスタッフが半数以上というベテランぞろい。うちおやき作りに関わるのは5人で、チーフの笠原さんは創業時のメンバーだったお母さんに借りだされて手伝い始め、今では芳川さんに次ぐ超ベテランとしてスタッフをまとめます。
 厨房のスタートは早朝6時30分。おやき部門は前日に下処理した野菜の味付けから始まります。野沢菜、切り干し大根は大鍋で火入れ、下茹でした野菜は水気を絞って合わせ味噌を絡め、すべてがそろったところでおやき作り開始。生地は小麦粉と水分を計量して捏ね機に投入後、生地を取り出して1個分ずつ計量します。めん棒で伸した生地に丸めておいた具を載せて、薄く引き上げた生地を中央で閉じ合わせます。セイロに入れること14分、蒸かし上がった後にホットプレートで軽い焼き目をつけ、最後に手作業でセロハン紙に1個ずつ包みます。おやき作りの傍らでは、翌日の野菜の仕込みも並行していて、流れるような手際の良さに目を見張るばかり。
 この手際は創業メンバー6人の厳しい指導と、それを受け継いできた歴代スタッフたちの努力の賜物。現在のスタッフも先輩たちにとことん仕込まれ「それはもう無駄のない動きをしてくれる」と太鼓判を押す芳川さん。現チーフの笠原さんにも「彼女がみんなを引っ張って、新しい風が吹いている」と全幅の信頼を寄せています。
 「おやきの作り方は変えない。味も変えない。お客様に『昔おばあちゃんが作ってくれたおやきと同じ味』と言われることが一番うれしいから、これからも伝統を守っていくつもり」と話す芳川さんも78歳。そろそろ限界かなあと思うこの頃、いつどんな形で次の世代にバトンタッチすべきかが悩みの種です。一方のスタッフたちは「社長はものすごい頑張り屋さんで、誰にも分け隔てなく接する優しい人。健康には気を付けて、いつまでも元気いてほしい。社長あってのさんやそうだから」と口をそろえます。
 「お客様との会話がわたしの働くエネルギーなの」と芳川さん。日だまりの中にいるような居心地のいいさんやそうは、芳川さんとスタッフの笑顔があふれていました。


門前農館 さんやそう
代表 芳川智恵
創業 2002年
長野市大門町518 ℡026-235-0330

おやき好きのJAながの女性部6人がJAのバックアップで、善光寺門前近くにオープン。代表芳川智恵さんの人柄から店の雰囲気は温かく、観光客だけでなく地元の常連さんも多い。
現在スタッフは50~70代の女性17人。創業時からの昔懐かしいおやき作りを守る。おやきの他にも総菜・おにぎり・にらせんべいなどが並ぶ。

芳川さん(左から2人目)とスタッフ

価格 130円(税込)
生地 中力粉(地粉)、熱湯

ARCHIVE