信更いっぽ―長野市信更町

野沢菜

幅7.8㎝x厚さ3.0㎝ 90g 野沢菜塩漬け、人参 (醤油、植物油、砂糖、味噌、粉末だし)

なす

幅8.8㎝x厚さ3.0㎝ 88g ナス(味噌、植物油、砂糖、塩、粉末だし)

つぶあん

幅7.5㎝x厚さ2.9㎝ 86g 小豆(砂糖、塩)

 「信更いっぽ」のおやきは、ふっくらとやわらかい食感が特徴。小麦粉、イースト、砂糖をあわせて餅つき機で練った生地で包みます。
 通年のおやきメニューは11種類。野沢菜・野菜ミックス・切干大根・なす・にらキャベツ・あんこ・かぼちゃの定番に加えて、変わり種のピリ辛大根・そら豆味噌あん・きのこ・イタリアンなどオリジナルおやきも豊富です。このほかに季節メニューが加わり、赤飯やまんじゅうまで。群を抜く種類の多さは、ショーケースの前に立って商品を選ぶ楽しみも与えてくれます。

 信更いっぽは平成16年、行政からの助成金と地元有志の出資金を元に、農協の遊休施設を改装してオープンしました。立ち上げ時のメンバーは長野市信更町(旧更級郡信更村)に住む女性たち約25人。「まずは自分たちが作った加工品を農協に並べてもらおう」を目標に掲げて、当時あちこちで売られていた「おやき」に的を絞りました。
 信更町出身でおやき店を営む人を講師に招いて指導してもらったり、自分たちのアレンジを加えたり、試行錯誤を重ねて現在のおやきを作り上げてきました。発足当時から代表を務める村田郁子さんをはじめメンバーは、地域のみんなに喜んでもらえるおやき店を作ることが目標だったので、困難はたくさんあったけれど、頑張ってきてよかったと振り返ります。
 オープンから10年経つ頃には経営も軌道に乗り、従業員が出資し合同会社として法人組織へ生まれ変わりました。さらに10年経った今は、「信更」という町の名前を刻んだおやきが毎日、全国に運ばれて行くようになりました。
 村田さんがこの仕事をするきっかけは、「信更町活性化研究委員会」の女性部部長を務めていたことでした。村田さんたちはまず「仲間づくり」を、さらには「女性の働き場づくり」「生きがいづくり」を目指そうと、ほかの地区の女性部活動の視察に行ったり、地域のお盆に花市を開いたり、地域の最寄りであるJR篠ノ井駅前で野菜直売所を運営したり、いろいろなことに挑戦したそうです。
 現在、いっぽ工房のメンバーは、40~70代の20人。毎日の仕事は卸先への朝の納品に始まり、生地作りに具作り、具を計量して丸める→生地を計量して丸める→包む→トッピングをして仕上げる、というおやき作りまで、終日フル回転です。こうした作業を1日10人ほどで分担し、早朝6時から午後5時まで、早番と遅番のシフト制で回しています。
 代表の村田さんは調整係。日々の予定を組むほか、人と仕事のバランスを見ながら手が足りないところに飛び込むことも。何でもします。「段取り八分といいますよね。仕事を算段して、皆が走りやすいように立ち回る」のが村田さんの役割です。

 10時と3時、そしてお昼時の休憩時間をしっかり取る中で、メンバーたちの楽しみと癒やしは何と言ってもお昼時。作ってきたお弁当を食べながら、みんなでお喋りするのが楽しいそうです。料理や相撲など話題は尽きません。目指してきた仲間づくりに「少しでも近づけたかな」と村田さん。「腰や膝が痛い年代の人もいます。仕事に追われながらも、仲間に元気をもらって生き生きと働いています」。
 発足時のメンバーは引退してからも、おやき用の野菜を栽培して提供してくれています。今の仲間たちに励ましの声を掛けたり、差し入れをしてくれることも。培った絆は温かいまま結ばれているのです。
 しかし、昨今の社会情勢を受けて、村田さんは継続することの難しさも感じています。「新しいスタッフを育てたくても、なかなか働き手が見つからない。賃金や物価は上昇するばかり。おやきの価格はどうしようかと悩みます」。信更いっぽはオープン以来、年末年始の一週間以外に定休日がありません。"無休"を続けていることも「これからどうするかは課題ですね」と話します。
 最近、注文を受けた時に「信州のおやきはすばらしい。ひとくちに"おやき"と言っても、お店によってさまざまな味とスタイルがあって、どのおやきも作っている人の"気合"を感じます」と声を掛けられました。お客さんとのこうした会話に元気をもらって、また頑張ろうと思ったそうです。
 信更いっぽの「いっぽ」は村田さんが名付けました。
 一歩を踏み出そう、だからいっぽ。実は立ち上げ途中の一番大変な時期に、村田さんと二人三脚でメンバーたちを引っ張ってきた掛けがえのない友が不慮の事故で亡くなったそうです。「いっぽ」はその友へ向けた誓いであり、これからまたさらに明日へ踏み出す「いっぽ」なのです。


信更いっぽ
代表 村田郁子
創業 平成16年
長野市信更町三水185-1 ℡026-299-2458

信更地域住民の熱い思いから設立された町の加工施設。
働く女性はすべて信更町の住民で、おやきや赤飯、おこわを製造。通年メニューだけでも11種類、季節おやきを入れると毎月15種類ほどに上る。自店舗の他に長野市内スーパー数カ所に卸している。

村田さん(中央)とスタッフのみなさん

価格 183円(税込)
生地 中力粉、熱湯、砂糖、塩

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