味菜―上水内郡小川村

野沢菜

幅7.5㎝x厚さ3.3㎝ 126g 野沢菜塩漬け、玉ねぎ、ねぎ、人参 (味噌、砂糖、植物油、粉末だし)

なす

幅8.1㎝x厚さ3.0㎝ 122g 丸ナス(味噌、砂糖、植物油、粉末だし)

つぶあん

幅8.0㎝x厚さ3.7㎝ 124g 小豆粒あん(砂糖、塩)

 おやきの本場、信州北部の中でも、長野市西部に広がる西山地区はおやきづくりが盛ん。西山地区を抜ける幹線道路沿いの道の駅には必ず、その地元ならではのおやきが売られています。
 長野市と白馬を結ぶオリンピック道路(県道31号長野大町線)沿いにある「道の駅おがわ」でも、小川村名物のおやきが手に入ります。
 ひときわ目立つ切り妻屋根の下の入り口を入ると、すぐに明るくハキハキした声で「いらっしゃいませ!」。代表の小松はま江さんが弾けるような笑顔で迎えてくれるのが「食事処 味菜」です。屋根の真下にある土産物売り場に地元の特産品が所狭しと並び、その奥がレストラン。一番目立つレジ脇におやきコーナーがあります。
 大きめのおやきには具がたっぷり。定番は5種類で、野沢菜・なす・ミックス・大根・あんこ。そこに、おから・青菜・玉ねぎ・かぼちゃ・にら・かぶなどの季節おやきが加わります。小川村の農家が生産した野菜と小豆をメインに加工していて、まさに地産地消。野沢菜に至っては、塩漬けしてさらに刻んでから、届けてくれるそうです。思わず「うらやましい~!」と声に出てしまいました。
 味菜は小松さんの人柄に惹かれて訪れる常連客が多いとか。地元農家さんとのこうした強い絆も、小松さんが長年コツコツと築いてきた信頼関係の証なんですね。
 小松さんが故郷小川村に戻ってきたのは平成13年のことでした。東京都内で店舗内装会社を経営していた夫を亡くし、社長として会社を引き継いで6年。子どもたちが独立したのをきっかけに会社を閉じて、小川村に住む母親と一緒にのんびり生活しようとUターンを決意します。
 しかし、小松さんは根っからの働き者。のんびりすることはありませんでした。村内にあった第3セクターの食事処が経営破綻したため、その建物を引き継いで自らが経営に乗り出すことに。村からの出資があったとはいえ、自己資金もつぎ込んでリフォームし、味菜をオープンしたのは、なんと帰郷した翌年です。
 村による申請が通り、味菜と隣接する野菜直売所などが道の駅として指定を受けたのが平成19年。「たぶん指定がなかったらもっと早くにダメになっていたかもしれません」と冗談めかして言う小松さんですが、経営者として家賃を払い、100席近くある店を存続させていくのは並大抵のことではありません。

 そんな小松さんを陰になり日向になり支えてきたのは、おやき作りの中心を担う姉の宮島すみゑさんです。味菜がオープンした時は、引き継いだ前の店でおやきを作っていたメンバーが残ってくれたので、そのままおやきを作りを継承したそうですが、いつしか宮島さんがメインメンバーに。「おやきのことは姉に聞いて。わたしは何もわからないの」と、小松さんは全幅の信頼を宮島さんに寄せています。
 おやきの調理場はレストランの厨房とは別棟になっていて、20年選手の宮島さんを中心に、勤続14年の大日方けい子さん、同11年の宮下三江さんの3人がおやき担当。せっせとおやきを作ります。
 3人とも手慣れたもので、中力粉とベーキングパウダーを混ぜた生地を60グラムずつ計量しては具をスプーンですくい上げて、ササッとおやきを包んでいきます。あっという間にせいろ1枚分のおやきが出来上がり、「これで16分蒸かすから、ちょっと待ってて」と宮島さん。
 3人とも70代ですが、とっても元気。しかも手際がいいのです。おやきを蒸かし終えたと思ったら、鉄板で焼き目をつける人、焼き終えたおやきをビニールに包む人、そしてシールを貼る人と自然に役割分担がされて、流れるように作業が進みます。
 朝8時から夕方4時まで、おやきを作り続けるだけではありません。時には赤飯とおこわも作ります。さらにお邪魔したのは秋野菜の収穫時期で、まさしく漬物作りのピークを迎えた頃。「レストラン用に野沢菜400キロとたくあん300キロを漬けてくれるの。おやきを作り終えてから、冷たい水をガンガン流してお菜を洗うところからね。本当に頭が下がります」。小松さんは本当に頭を下げながら、宮島さんたちをねぎらいます。
 「姉には『あんた、いつまでやればいいの?』って言われてるんだけど、3人のおばちゃんたちにはまだまだ頑張ってもらわなくちゃ。3人が働けなくなったら、おやきはおろか野沢菜漬けもたくあんも既製品になっちゃうわ」
 味菜の魅力は、観光客はもちろん地元の人からも愛されてる小松さんの人柄と、力強い縁の下の力持ちに支えられた安定の味。お姉さん、引退できる日はまだまだ先のようですよ。


食事処 味菜
代表 小松はま江
創業 平成14年
上水内郡小川村高府1502-2 ℡026-269-3262

道の駅おがわの食堂と土産物店を担当、手打ちそばとおやきのテイクアウトが人気の店。
通年メニューは5種類で、具には小川村で収穫された野菜を中心に使用。特に「あんこ」は村内で栽培された新小豆を使い、こしあんのような上品な味わいが人気。

左から大日方さん、小松さん、宮島さん、宮下さん

価格 180円(税込)
生地 中力粉、ベーキングパウダー

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