ブルックスのオーロラ

 アラスカ、と聞くと何をイメージするだろうか。3つ挙げてみて、と言ったら、ほとんどの人のアラスカに"オーロラ" がランクインするはずだ。「人生で一度はオーロラを見てみたい」というフレーズをよく耳にするが、そこまで大仰に考えずに、ぜひ気軽に見に行ってもらいたい。
 せっかく行くなら、オーロラのためだけにアラスカへ、という気合いで行くことをお勧めする。あれもこれも、と予定を詰めてしまうと、素晴らしいオーロラに出会うことは難しいからだ。
 この写真は、アラスカ北部に横たわる長大な山脈、ブルックス山脈の中で撮った。この時は、オーロラと満月と一緒に撮ろうと狙っていたのだが、それがなかなか難しい。満月の光が強いので、かなり強いオーロラが出ないと写真にならないのだ。
 そして9月のある夜。テントの中にいても気づくくらい強いオーロラが出たのが深夜1時過ぎ。まだ10日くらい遠征が残っていたので、バッテリーの残量を気にしながら撮影を始めた。
 西から東へ、蛇のようにうねりながら空を渡っていくオーロラ。僕はいまだに、強いオーロラを目にすると、「おお」と声が出てしまう。地平線の向こうから反対側まで、何百キロもの距離を踊るように駆けていく姿には確かに胸を打たれる。
 撮影を終えたのは深夜3時過ぎだったか。疲労感があったが、僕が見上げていたあのオーロラを、満月は宇宙から見下ろしていたのかと思うと、なんだか高揚してすぐには寝付けなかった。

ARCHIVE