オーロラのテスト撮影 ―タイムラプスを撮る その7

 歩きやすい地面にノセられて、かなりの距離を稼いだ。そのせいで、暑くはなかったが、かなり汗をかいてしまった。もう休みたかったのだが、ちょうど良いテン場が見つからず歩き続けた。
 暗くなり始めた頃、左側の稜線に広いところを見つけた。岩陰なので、風が避けられる場所だ。しかも、眼下に昨日の湖も見える。特に北西方面の視界が綺麗に抜けており、今夜はオーロラを狙ってみようかな、そう思わせるほどの好立地だった。競争相手もいないのに、急ぐようにテントを張る。今日は満月だし、やっぱりオーロラを撮ろうと決め、陽があるうちに、三脚とカメラをオーロラバージョンに設定した。
 夕食を済ませ、濡らした手ぬぐいで体を拭いて夜を待った。6リットル弱持ち込んだ水の残りが少なくなってきた。明日どこかで補充しなくては。水が減ってザックが軽くなってきたから、今日の後半は快調だったのかな。そんなことを考えつつ、完全に暗くなるのを待った。

 空が満月で明るくなり始めた頃、北西の空でオーロラが見え始めた。まだうっすらと光る緑色のぼんやりオーロラだ。頭上でカーテン状に踊るオーロラではなく、100~200キロ遠くの上空で揺らめいている。とりあえず練習も兼ねて、自分のテントと一緒に撮影。テント内にヘッドライトをつければ、おしゃれな写真に仕上がる。
 東の山の頂上あたりから満月が上がってくる頃には、オーロラも少しづつ強くなってきた。どんどん冷えてきて寒い。分厚いダウンを羽織った。
 東西に数百キロは伸びたオーロラが北から南へと大きく蛇行しながら、僕のいるエリアの真上を通過していく。行ったかと思うとまたうねりながら返ってくる。ピンクや紫は少なく緑がメインだが、かなり強く光るオーロラだった。
 これだけ強ければ満月と一緒に写せるはずだ。最近のデジタルカメラは優秀すぎて、見た目より強くオーロラが映ってしまう。そうならないよう慎重に露出を設定した。
 約2時間ほどの間、消えたり強まったりを繰り返したあと、オーロラは小康状態に入った。ブルックス山脈の山々と満月とオーロラ。誰もいない原野で、大自然の協奏曲を聞いている心持ちだった。
 まだオーロラは光っていたが、明日もハードなので、今夜はここまで。試験的に簡易のタイムラプスを仕掛け、眠ることにした。テントに入り、乾燥した目に目薬をさそうとしてメガネの上にさしてしまった。一人で笑った。翌朝、カメラを回収すると、タイムラプスは狙い通り動いていた。これで本番もうまくいくはずだ。

モンベルのスノーブーツ。暖かく、脱着が楽なので重宝している。
オーロラを撮る設定を済ませたカメラ。タイムラプスをするときはカメラの下の台座が回る。
ARCHIVE