人生の半ばを過ぎて思った。夢を叶えるタイミングは今かもしれない!
神奈川県川崎市→下高井郡木島平村/中村文絵さん

Q 移住を考えたきっかけ

20代の頃、旅行が趣味で沖縄の波照間島をよく訪れていた。そこには、いつも決まって泊まる宿があり、その宿の雰囲気や、集まる人々がとても好きだった。そこへ何度も通ううちにいつしか自分もこんな居心地のよい宿をやりたいという夢を持つようになり、長年その夢を心の中で温めてきた。
神奈川県に住み、四半世紀以上東京で会社勤めをしてきて、あるときふと「人生100年と言われるけれど、会社を退職した後、どうなるのだろうか」と思い、70歳80歳になるまで自分ができること、夢中になれることはないかな、と考えるように。そして、若い頃から温めていた「いつか宿をやりたい」という夢を叶えるタイミングは今かもしれないと思い、移住の準備を始めた。

Q なぜ「木島平村」だったのか

私の場合、物件ありきの移住と言えるかもしれない。以前から伝統建築や日本独特の生活文化が好きで、古き良き日本の貴重な財産を守るためにも古民家を活かしてみたいと考えていたからだ。
首都圏から訪れやすい宿ということで、千葉県から古民家の物件を探し始めたが、なかなかピンと来る土地や物件に巡り合えず、次に信州の古民家を探してみた。東京からのアクセスが良い東信から調べ始めたが、条件が合わないためあきらめ、範囲を広げてネットで物件を探し、現地へ足を運ぶことを繰り返した。そして、木島平村で偶然、理想の古民家と出会うことができた。
この場所の、信州を象徴する山を一望でき、自然豊かで、戦前まで酒蔵だったというたたずまいと、前家主さんがこの家をとても大切にされていた想いに魅かれたのだ。また、新幹線の駅から近いという条件にもぴったり(飯山駅から車で約10分)だった。
よく、木島平はスキー場以外何もない農村…と言われる。でも私は、とくに都会で暮らす方にとっては最高の癒やしの場、と思っている。これは“よそ者”だからこそ気づく、地元の良いところではないだろうか。
移住という夢を果たした現在は、我が家に来ることを目的に木島平を訪れてもらえるようになることが、これからの夢となった。

Q 移住までにクリアしなければならなかったこと

住宅購入や開業資金の調達、宿の設計・建築、旅館業・飲食業の免許取得などを同時並行で進めた。古民家の購入を決めたのが2017年12月。勤務先を辞めたのが2018年6月。同時に木島平村へ移住。同年11月末に「窓月まつしまや」を開業するまでめまぐるしい感じだったが、有給休暇を使っては現地を訪れ(保健所や消防署には何度も通った)、冬の到来に間に合わせることができた。
親は最初は反対していたが、今となっては理解し協力してくれている。同じ会社で働いていた夫は、私の夢を応援すると言ってくれ、同時に退職。司法書士の資格を生かすため、長野市の会社に勤務しつつ宿をサポートしている。

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