信濃毎日新聞ニュース特集

新型コロナウイルス

2020年3月13日

外出先、ウイルスどこに? 信大病院感染制御室副室長に聞く 便座や手すりなど、触れやすい場所注意

 新型コロナウイルスは、感染者のせきやくしゃみなどと一緒に体外に放出されます。その後、どれだけの期間、外部で感染力を保つのか、"寿命"について詳しく分かっていませんが、よく似た他のコロナウイルスは最長9日間という研究報告があります。肉眼で確認できないほど小さなウイルス。新型コロナをはじめ、こうしたウイルスはどんなところにいるのでしょうか? 街中で付いている可能性の高い場所を、信州大病院(松本市)感染制御室副室長で助教の金井信一郎さん(47)に聞いてみました。

<しっかり手洗い、感染防止>

 金井さんは、ウイルス全般の性質として「(室内と同じで)街中でも、多くの人が触れる場所ほど付いている可能性が高いといえます」と明快に答えた。

 つまり、よく触られている場所は、感染者も知らず知らずのうちに触っている可能性が高い。もし、ウイルスが残っていたら...。そこに触った手で目や鼻、口を触れてしまうとうつるかもしれない。

 では、具体的にはどんなところに注意したらいいか。不特定多数の人が利用している施設や物について、ウイルスが付いている可能性が「高い」「中程度」「低い」の3段階で聞いてまとめた=イラスト。

 金井さんが「高い」と指摘するのはまず、高速道路のサービスエリアやコンビニエンスストア、体育館...といった公衆の施設にあるトイレの便座だ。用を足す際、便座に手で触れることはよくある。感染者が触った後で、別の人が触った場合にうつる恐れがある。

 よく行くスーパーや駅でも周りを気に掛けたい。階段やエスカレーターの手すりは、皆が共有してよくつかむという点で、金井さんは「高い」と判断する。

 後は、ボタンやスイッチの類い。エレベーター、現金自動預払機(ATM)、自動販売機などだ。これらはあくまで例なので、それぞれが外出した先々で、多くの人が触っていそうかどうか考えてみるといい。

 ウイルスが付いている可能性が「中程度」に分類されたのはどんな物か、点検してみよう。その一つが、ジャングルジムや滑り台といった公園の遊具だ。ただ、多くの子どもたちが使う人気遊具であれば「高い」範囲に入るという。

 図書館で借りた本、職場などでやりとりする資料や名刺も、それほど多くの人が触る物ではないため「中程度」に含まれるとする。

 床や壁は「低い」という。どこにでもあるが、そもそも「手が触れにくい場所」だという理由からだ。しかし、感染者がもどした嘔吐(おうと)物が付いた床などは別。床に寝そべったり、物を置いた際は注意したい。

   ◇   ◇

 国は集団感染が起こりやすい条件として、換気の悪さ、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が触れる可能性がある場所などを挙げている。

 ライブハウスやスポーツジムなど、感染拡大が確認されている場所を避けても、食事の買い物などで外に出る必要は出てくる。学校が臨時休校中の子どもたちも、ずっと自宅で過ごしてはいられないだろう。

 外に出た時、感染源になりそうなところはどこかと、神経質になり過ぎるとかえってストレスがたまる。大事なのは、たとえウイルスが手に付いても、しっかり洗えば感染を防げるということ。小まめに手洗いをしたい。

<SARSウイルスの寿命 プラスチック上で最長9日間 遺伝子レベルで新型コロナと酷似>

 感染者から体外に出たコロナウイルスの寿命はどれくらいなのか。今回の新型を巡ってはまだよく分かっていないが、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)といった他のコロナウイルスについては傾向が明らかになっている。

 医学雑誌「Journal of Hospital Infection」で今年2月に発表された論文によると、体外に出てどこかに付いたウイルスの寿命は「2時間~9日間」だ。

 付着する部分の素材によって寿命は違うようだ。遺伝子レベルで新型と酷似しているとされるSARSウイルスについて見てみよう。室温と同じ環境下でプラスチックに付いた場合、最長9日間生きると報告される。金属は5日間、ガラスと木は4日間。紙も最長5日間といった具合だ=表。

 こうした研究について、信州大の金井さんは「プラスチックなど、平らで滑らかな素材ではウイルスが長く生きる傾向にある」と説明する。感染予防の参考にしたい。

 論文はまた、素材が冷たい物ほど、ウイルスは長く生きやすいとしている。