信濃毎日新聞ニュース特集

2019参院選

「出てもらえない」悩める電話作戦 固定電話減少や特殊詐欺警戒

2019年07月06日掲載

電話で陣営候補者への投票を呼び掛ける支援者。電話には出ない家も多いという=5日

 21日投開票の参院選で、立候補者の各陣営が有権者に電話で投票を呼び掛ける「電話作戦」が様変わりしつつある。固定電話を置く家庭が減っている上、特殊詐欺被害防止のために県警などが留守番電話の活用を呼び掛け、「電話に出てもらえない」ことが増えつつあるため。県区の各陣営は携帯電話や会員制交流サイト(SNS)への呼び掛けにも力を入れている。

 5日、県区のある候補者の事務所では、数人が独自に集めた名簿を基に電話で投票を呼び掛けていた。ただ、その一人の女性は「電話しても『詐欺対策でこの電話は録音します』とアナウンスが流れたり、留守番電話になったりすることが多い」と話す。

 近年の特殊詐欺被害の増加を受け、県警は特に高齢者世帯向けに、電話がかかってきても留守番電話にして、知らない番号が表示されたら出ないよう呼び掛けている。市町村も、「通話を録音します」と自動的に相手に伝える機器を貸し出したり、設置費用を補助したりと対策を進める。

 「『録音します』という音声が流れると私たちにもためらいの気持ちが生まれ、留守番電話にメッセージも入れずに切ってしまう」。ある政党関係者の男性はため息交じりだ。

 複数の選挙関係者によると、電話帳を開いて片っ端から電話を入れたりする選挙事務所の風景は今は昔。携帯電話が普及して固定電話を置かない家庭は増える一方で、電話作戦の基になる後援会入会カードに「携帯電話の番号を記入する人も少ない」という。

 このためある陣営の関係者は今回、面識のある人のつてを頼りに、携帯電話に登録されている番号や無料通話アプリ「LINE」(ライン)で投票を依頼する手法を重視しているという。別の関係者も「電話作戦に人を回すより、知人や職場で『投票所に行って』と頼むよう呼び掛ける方が効果的」とする。

 一方、「A候補の陣営からは電話があったが、B候補の陣営からはなかった」ことが投票理由だと話す有権者もいて、電話作戦に見切りを付けられないと話す関係者もいる。「せめて詐欺の電話と間違われないよう、明るく元気に候補者の名前を言うようにしている」。ある陣営の男性は、そう気持ちを整理して再び電話に向き合った。