山村留学面白い 八坂での取り組みが30年目



八坂村の棚田脇を通って小学校へ向かう山村留学生たち

 都会の子どもたちが家族から離れて、自然いっぱいの地域で生活する「山村留学」という取り組みがあります。全国に先駆けて取り組みが始まったのが北安曇郡八坂村です。本年度でちょうど三十年目を迎えました。財団法人「育てる会」が運営する八坂村の山村留学センターでは、小中学生三十六人が本年度の生活を始めています。

 センターでは、八坂村の八坂小・中学校に通う二十二人と、隣村の同郡美麻村の美麻小・中学校に通う十四人が生活しています。何年か続けて留学中の児童生徒が十三人、本年度の新入園生は二十三人です。

 センターの一日は午前六時半からのラジオ体操で始まります。「五分前まで寝てたんだもん」と、ぎりぎりになって前庭に出てくる子どももいます。

 食事を済ますと、歩いて登校です。八坂村の学校まで四十―五十分、美麻村に向かうスクールバスの乗り場までは一時間ほどかかります。

 センターで子どもたちを指導している野高健司さん(34)は「山村留学で、まず体力が変わります。足腰がとても丈夫になる」と言います。

 大勢で生活するセンターでは、「あれをしなさい。次はこれ」と、細かく言ってくれる家族はいません。何をすればいいのか、自分で考えられるようになるそうです。

 新入園生も、だいぶ大勢での生活に慣れてきました。埼玉県から来た小学四年生の泉水久乃さん(9つ)は、前の学校の友だちを思い出すこともありますが、「いろいろな行事もあるし、ニワトリやメダカもいて楽しい」と笑顔で話しました。

 最年長の中学三年生たちは、高校受験がちょっぴり心配です。

 大阪府から来た森島弘明君(14)は「塾に通えなくても、都会にはできない体験ができる。受験勉強と両立させて合格したい」。愛媛県からの宮武崇君(14)は親から自宅に帰るよう言われたそうです。大阪府からの橋本翔麻君(14)は、受験に備えて自分で自宅に帰ることを考えたと言います。でも二人とも残りました。「登下校や冬の座禅は大変だけど、生活はめちゃくちゃ面白い」と口をそろえます。

 センターでの生活のほか、一カ月のうち半分は地元の農家で生活します。村の人たちとの触れ合いも山村留学の大きな特徴です。本年度の農家での生活は二十四日に始まります。

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