第23回
小学生対象の第23回長野県こども新聞コンクール(信濃毎日新聞社と信毎販売店会主催)が行われました。興味や疑問を持ったテーマを自ら調べ、考えをまとめた新聞が県内257校から計5449点寄せられ、6地区での審査を通った135点から優秀賞15点、奨励賞30点が選ばれました。
身の回りの出来事や地域の課題、気になるニュースなどテーマはさまざま。現場へ足を運んだり、周囲の大人や専門家に話を聞いたりして取材を深めています。見出しや写真、イラストを工夫した新聞には、子どもたちの社会への思いやメッセージがあふれています。
優秀賞作品と作者のコメントを紹介します。(受賞者名の前にある市町村名は学校のある所です)
「先生のひとこと」は、県教育委員会学びの改革支援課指導主事の荒井和之さんに書いていただきました。
審査を終えて
県教委学びの改革支援課指導主事 荒井 和之さん
情報を収集・客観的な考察・自ら考え動く 予測困難な時代を生き抜く力に
皆さんの魅力あふれる「こども新聞」をワクワクしながら拝見させていただきました。社会的な出来事や身の回りの出来事などから見いだした課題について、調べたり、考えたりしたことを分かりやすく発信したいという強い思いが、どの新聞からも伝わってきました。その根底には、次の三つの力があるのではと考えます。
一つ目は、「情報を収集する力」です。皆さんの新聞には、本やインターネットを使って得た情報はもちろん、実際にその場所に足を運び、自分の目で見たり、声や音を聴いたり、また、匂いを感じたり、ものに触れたり、食べたりするなどといった五感を使った体験を伴って得た情報が数多くあります。
現在、多くの情報を瞬時に手に入れることができますが、バーチャルではなくリアルな体験を通じて学ぶことがより重要視されています。五感を使って情報を得ることは、人間だからこそできる強みでもあります。
二つ目は、「情報を客観的に捉える力」です。自ら集めた情報をもとに考察・分析することで、課題に対する自分の「納得解」を導き出すことはもちろん、そこに客観性が伴うことで読者にとっての「納得解」にも至ります。
三つ目は、「自ら考え動く力」です。考察・分析したことをもとに「自分ができること」を発信することは、自ら考え動く第一歩でもあります。さらに、自分以外の人や生物、環境、AIなどと「共に生きる」ために他者意識を持ち合わせた考えができることは素晴らしいことです。
これらの力は、予測困難な時代を生き抜くためにも大きな力となることでしょう。新聞づくりで身につけた力を日常の生活においても活用しつつ、自己を高めていってほしいと願っています。