五輪代表の軌跡=竹脇直巳(下) 体力 自己管理―今も向上


[竹脇 直巳・ボブスレー]

 竹脇直巳(北野建設)の体力は驚異的だと、選手やコーチたちは言う。レベルの高さもだが、三十三歳になる今も衰えないどころか、年に一度行う日本ボブスレー・リュージュ連盟の体力測定では、毎年点数が上がりパワーアップしている。中でも、瞬発力の持続をみる立ち五段跳びで、自己記録を伸ばしたことが注目された。

 ボブスレーは競技開始の年齢制限があり、年齢ピークが比較的高い。しかし、操縦するパイロットの場合、年齢が上がるにつれ技術は向上するものの瞬発力は落ちる選手が多いという。

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 竹脇もボブスレーを始めたころは非力だった。

 仙台大に入学した八三年。高校時代は陸上競技をしていた竹脇が「何か変わったスポーツをしてみたい」と、ボブスレー部にひょっこり現れた時、鈴木省三・長野五輪競技委員長(当時、仙台大三年)の抱いた印象は「もやしみたいなやつ。大丈夫だろうか」だった。

 ベンチプレスでは60キロしか上げられなかった。が、一年間のトレーニングを経て一流選手並みの120キロを上げられるようになった。鈴木競技委員長は、「こんなやつはめったにいなかった」と、当時を振り返る。

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 ベテラン竹脇の体力の伸びは、自己管理のたまものだ。身長182センチ、体重84キロの体は、ボブスレー選手としては決して大きい方ではない。全日本の武田雄爾監督(大町市)は「骨格、筋肉にも恵まれ、均整がとれている。けがも少ない。自分なりの練習スタイルを知り尽くしているのだろう」と高く評価している。

 北野建設の先輩で、スキーのクロスカントリーで四度の五輪に出場した佐々木一成さんは、「竹脇は年齢が上がるにつれて体が締まってきた。一人で黙々と練習している姿は近寄りがたい雰囲気がある」と話す。

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 「今季は自分でもびっくりするくらい調子がいい」という。夏場のプッシュボブスレーの一人押しの測定でも常にトップクラスを維持した。シーズンに入ってワールドカップ(W杯)の前半戦の四人乗りでは、Bシード(20位以内)を確保。「ドライビングの流れが非常にスムーズ。そりにプレッシャーがかからない状態で進んでるから、タイムが上がる」と武田監督は分析する。

 「8位入賞は不可能な数字ではない」と手ごたえを感じている。「後は自分がどうリーダーシップを取っていくかだ」。竹脇の表情は明るい。

(1998年1月18日 信濃毎日新聞掲載)