無敵コンパニョーニ 長野では「金」が絶対に欲しかった



 フィニッシュして計時板に合計タイムが出ると、コーチスタッフが抱き合って揺れた。観客席からも大歓声が上がった。トンバと並ぶイタリアのスター、コンパニョーニが大回転で五輪連覇、三大会連続金メダルを達成した瞬間だ。「リレハンメルでは無心で滑った。でも長野では金メダルが絶対に欲しかったから、うれしい」

 陽気なイタリア人が応援に我を忘れたのは、前日の回転で1回目の首位から逆転された悪夢があるからだ。

 雨が降っていた上、女子にしてはコースも長く旗門も大きなターンを要求する難度の高いセッティング。ターンに失敗して脱落する選手が続出する中、1回目に2位に1秒近い大差をつけ優位に立つ。楽勝の展開だが、2回目もポールぎりぎりを狙う攻撃的な滑りに徹し、タイム差を広げた。

 レース後の記者会見では「回転は私の専門じゃないし、コースアウトするのは簡単。だからスピードを落としただけで、大回転は百%のスピードでアタックした」と平然と答えた。この種目ではリレハンメル五輪から二度の世界選手権を合わせ無敗。ワールドカップ(W杯)でも昨季から今季にかけて8連勝するなど、「大回転では世界最強の女性」と銅メダルのサイツィンガー(ドイツ)も評した実力通りの勝利だった。

 トンバと比較されることを嫌うようだ。「彼と競争しようとは思わない。彼は特別な人間だし、引退したとしても私には関係ないわ」。次の五輪は「出たいけど、四年先は長いわね」とクールに話す表情には、風格さえ漂っていた。

(1998年2月21日 信濃毎日新聞掲載)