「氷筍リンク」今季限り エムウエーブ、記録伸びず


 世界一の高速リンクを目指し長野五輪スピードスケート会場のエムウエーブに張られた「氷筍(ひょうじゅん)」のリンクが、今季一シーズン限りで姿を消すことが二十四日、長野市、日本スケート連盟、関西電力などでつくる「氷質プロジェクト」の会合で正式に決まった。氷筍を一枚一枚並べた約千人のボランティアらの夢も乗せていたが、記録は期待に反して伸びず、多額の経費も重荷になって断念せざるをえなかったという。

 記者会見した発案者の対馬勝年教授(富山大)によると、エムウエーブの氷筍リンクは通常より抵抗が一六%小さいことが分かった。しかし、昨年十二月の短距離のワールドカップ(W杯)男子五百メートルで、清水宏保選手(NEC)が、昨シーズンの長野五輪の優勝タイムを上回る35秒40をマークしたほかは、外国勢を含めトップ選手がエムウエーブの通常の氷で出した五輪記録を更新できなかった。

 氷筍づくり、運搬などの経費を負担した関西電力は「数千万円かかった。負担は今回限り」との意向を明らかにした。プロジェクトは、同リンクでの大規模な実験を「見合わせる」として解散した。

 選手の心身が充実している五輪とポスト五輪シーズンの差やスラップスケートの習熟度などさまざまな要素が絡むが、選手の反応も「昨季とはいろいろな感覚が違い、よく分からない」(野明弘幸選手=県体協)などいまひとつだった。対馬教授は「記録にはさまざまな要素が影響する。残念な結果だが、今後も研究を続けたい」と話していた。

(1999年3月25日 信濃毎日新聞掲載)