2019年10月14日

悪条件重なり決壊② 千曲川へのポンプ排水できず 支流浅川で内水氾濫

 上高井郡小布施町では、千曲川の堤防よりも7メートルほど低い支流の浅川の水が、千曲川に流れ込めないことで発生する「内水氾濫」が起きた。千曲川が増水した場合、水門を閉じて浅川への逆流を防いだ上で、3カ所の排水機場のポンプで水を千曲川にくみ出すのが通常の対応だ。だが今回、事前に定めた千曲川の基準水位を超えて洪水の恐れがあったため、ポンプ排水は停止に。これが内水氾濫の原因になった可能性がある。
 県浅川改良事務所(長野市)は12日午後7時すぎ、千曲川から浅川への逆流を確認。国が水門を閉め、県と市は排水ポンプを稼働させた。この時点で浅川の水位は安定していたという。だが13日午前0時ごろ、千曲川が基準水位に達し、ポンプを停止。同事務所の相河政登所長は、水位の上昇速度から考えて、ポンプを止めた約1時間後に「浅川での越水が始まった」とみる。
 過去の浅川の氾濫では、ポンプの排水能力が足りないことが課題だったため、県は昨年6月に1秒に14トンの水を排出できる新しい排水機場の運用を始めた。今回は排水規制の後に発生しており、相河所長は「ポンプ停止後に越水を防ぐのは難しい」とする。
 県河川課の吉川達也課長は「千曲川と浅川の水位上昇のピークが重なってしまったのも、浅川越水の要因の一つ」とする。
 一方、浅川上流には、県が治水専用の浅川ダムを建設し、2017年に運用を始めた。通常時は水を流し、洪水時には水をためて下流域の水害を防ぐ。流水量が自動で調節される仕組みだが、県浅川改良事務所によると、今回の台風ではほとんど水がたまらなかった。今回、ダム周辺では1時間あたり10数ミリ程度の雨が長時間降り続いたといい、相河所長は「今回のような雨では浅川ダムの効果は発揮しづらい」とする。
 県は13年に浅川総合内水対策計画を作成し、1983(昭和58)年9月の台風と同規模の洪水に対し、住宅の床上浸水被害を防止することを目標に掲げたが、今回、被害を防げなかった。
 同計画に基づき調整池を設け、新しい排水機場を設けたが、計画では今後も排水機場を造ることになっている。吉川課長は「今回、浅川がどの程度氾濫したのか検証する必要がある。その上で、計画通りさらに排水機能を増強するのか考えていく」とした。
 今回の水害では、長野市松代町や飯山市など他の地域でも、支流による氾濫が相次いでおり、課題を残した。