2020年2月25日

「避難行動要支援者名簿」の提供に差 千曲川沿い15市町村

 災害時の避難に支援が必要な高齢者や障害者を地域で把握するため、災害対策基本法が市町村に作成を義務付けている「避難行動要支援者名簿」を警察や消防、自治会などに情報提供しているか、昨年10月の台風19号で氾濫した千曲川沿いの15市町村で対応が分かれていることが24日、分かった。10市町村は何らかの外部機関に事前提供しているが、個人情報の管理を巡って検討が済んでいない自治体もある。各地で災害が相次ぐ中、弱者の命をどう守るか議論を急ぐ必要がある。
 信濃毎日新聞は、千曲川沿いの15市町村(比較的被害が少なかった県内最下流の下水内郡栄村、下高井郡野沢温泉村を除く)に名簿をどこに提供しているか取材した=表。長野、飯山市をはじめ10市町村は消防、民生委員などの外部機関に事前提供。佐久、東御市や南佐久郡小海町、南牧村は事前提供していない。上高井郡小布施町は名簿を作っていなかった。
 同法は名簿の外部提供までは義務付けていないが、登録者の同意を条件に、消防や警察、民生委員、社会福祉協議会、自主防災組織などに提供する―と定めている。
 外部提供していない自治体では、個人情報の管理が懸案になっている。佐久市は「名簿の保管方法や情報をどの部分まで提供するか、関係機関と話し合いが進んでいない」とする。
 一方、東御市は「自治区で作成した災害弱者の台帳を関係者で共有している」とし、内容が重複する名簿の提供は考えていない。南佐久郡佐久穂町は「来年度を目標に個人情報の扱いを定めた条例策定を進め、その後、関係機関との共有を考える」と説明。小海町と南牧村は、いずれ事前提供できるように条例作りを検討中だ。
 関西大の山崎栄一教授(災害法制)は「名簿は地域と共有、活用されて初めて真価が発揮される。共有や活用について議論しなければ形骸化してしまう」と指摘している。