2020年4月 7日

新型コロナ 住宅修繕工事に遅れ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中国で製造しているトイレや台所の部品が調達できなくなり、昨年10月の台風19号で被災した長野市内で住宅修繕工事に遅れが出ている。住民は早期に普通の暮らしに戻りたいと願っているが、完成の見通しも立たず不便を強いられている。
 家屋の被害が深刻だった同市東北部。豊野町豊野の山浦登さん(80)と妻の茂子さん(72)は、19号災害で自宅が2メートル余り浸水し全壊した。被災後はずっと2階の8畳間で暮らしている。2階にはトイレはあるが台所と風呂、洗濯機はない。調理は、炊飯器でご飯を炊き、こたつの上に置いたまな板で食材を切り、カセットこんろを使う。風呂と洗濯は近くで暮らす長女の実家を頼る。
 避難所ではなく住み慣れた家で過ごすことを決め、自宅をリフォームしようと決意。業者に申し込んだのは昨年12月だった。費用は約1200万円。今年9月に終わる予定だったが、新型コロナの感染拡大で状況が一変した。
 業者からは、中国からIHクッキングヒーターなどが入る見通しが立たず、引き渡しがいつになるか分からない―と説明を受けた。「一日も早く1階で生活を再開したい」と茂子さん。山浦さんは「娘の家を頼り続けることにもなり、気兼ねしてしまう」と話す。
 自宅が大規模半壊し、1階を修繕しているリンゴ農家、関浩一さん(61)=長野市穂保=も中国からトイレと台所の部品が入ってこないと、業者から説明を受けた。
 80代の母と昨年末に入った公営住宅の家賃免除期間は1年間。多額の資金をかけて早期に自宅を改修し、移る予定だったが「工事が間に合わないと家賃が必要になり、負担は重くなる」と嘆く。
 同市赤沼の自宅が浸水し全壊となった西沢和雄さん(79)も、4月末で改修が終わる予定だったトイレの部品が届かない。感染症の影響で地域の交流会なども自粛しており、「これでは前に進まない」と気を落とす。
 浸水した1階の改修をしながら2階で生活を続けている同市大町のリンゴ農家、塚田美和子さん(50)宅の改修もトイレと台所などの部品の納入が遅れている。6月下旬の引き渡しが延びる可能性があるという。
 住宅設備メーカー、リクシル(LIXIL、本社・東京都)の広報部によると、新型コロナの感染拡大で、中国の部品メーカーの工場が一時操業停止になっている。部品供給が遅れ、同社商品の納品が全国で遅れており、影響はトイレやシステムキッチン、風呂など多岐にわたるという。
 中国本土に七つの工場を展開する住宅設備メーカー、TOTO(北九州市)も同様の理由で、トイレや台所用品などの納品に遅れが出ているとしている。

木材がむき出しになったままの自宅台所を見つめる山浦さん夫婦。部品供給の見通しが立たず、いつ修繕が終わるか分からない=3日、長野市豊野町豊野