東北信を中心に県内に大きな被害をもたらした昨年10月の台風19号で、県内77市町村のうち73自治体が住民に災害への警戒や避難を呼び掛ける情報を出し、このうち4割に当たる29市町村が、「防災行政無線」や「緊急速報メール」といった伝達手段に十分に機能しない部分があったと認識していることが9日、信濃毎日新聞の各市町村へのアンケートで分かった。
災害情報を出すタイミングが適切だったかとの問いでは、63市町村が適切だったとする一方、10市町村が「遅いタイミングで伝達した情報があった」と回答。一部地域で情報自体を出せなかった自治体が2町村あった。
昨年の台風災害から間もなく半年。大雨の降る恐れがある梅雨が近づく中、住民への情報伝達の改善が急がれる。
「避難勧告」や「避難指示」など災害情報を伝える手段(複数回答)で最も多かったのは「防災行政無線」で70市町村。次いで「登録制メール」が35市町村、有線放送・CATVが32市町村だった。
スマートフォンを含む携帯電話の利用では他に、対象地域にいる人に情報送信する携帯電話会社のサービス「緊急速報メール」が28市町村、会員制交流サイト(SNS)が23市町村。区長からの連絡網が24市町村のほか、その他(30市町村)の自由回答では広報車や消防団による巡回・声掛けが目立った。
携帯電話の活用は移動中の人にも迅速に情報を伝えられる利点もある。県内19市には浸透しているが、町村で活用が少ない傾向が見られた。町村では登録制メールは18町村、緊急速報メールは16町村、SNSは7町村の使用にとどまった。
情報伝達で不十分な部分に関する回答(自由記述)では、諏訪市、須坂市、小諸市、中野市、大町市、安曇野市、北佐久郡御代田町、下高井郡山ノ内町、上伊那郡箕輪町など16市町村が「暴風雨で屋外スピーカーからの音声が聞こえづらい」といった防災行政無線に関する問題を挙げた。
遅いタイミングでの情報伝達があったとするのは長野市、諏訪市、小諸市、大町市、飯山市、南佐久郡佐久穂町、南相木村、北相木村、小県郡長和町、山ノ内町で、大きな被害を受けた地域が目立った。
佐久穂町と小県郡青木村は停電のため一部情報が届かない部分があった―とした。
当時、情報を何も出さなかったのは諏訪郡下諏訪町、下伊那郡根羽村、木曽郡王滝村、北安曇郡白馬村の4町村。いずれも住民や家屋に大きな被害はなかった。
調査は77市町村にアンケート用紙を配布、全自治体から2月に回答を得て補足取材をした。
2020年4月10日
災害情報出した市町村 住民への伝達「不十分」4割

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