2020年5月11日

千曲川の堤防決壊 「浸透破壊の可能性も」

 昨年10月の台風19号災害で約70メートルにわたって決壊した長野市穂保の千曲川堤防について、研究者らでつくる国土問題研究会(京都市)が川側の水が堤防に浸透して破壊につながった可能性もあるとの調査報告書をまとめた。大学教授らでつくる国土交通省の千曲川堤防調査委員会は、越水で住宅地(川裏)側から堤防が削られ、水圧に耐えきれなくなったのが主因―と推定している。
 同研究会の調査団は今年2月10〜12日に地元住民を交え、決壊箇所周辺の堤防を調査した。上流側堤防の住宅地側に盛り土された「桜づつみ」の約100メートルの間で、高さ数センチから10センチほどの土砂の盛り上がりが21カ所見つかったと報告。土砂が堤防内から噴き出たとみられる。
 ただ、土砂の跡は部分的であることなどから決壊現場での浸透破壊は断定できないとも指摘した。調査をまとめた同研究会の奥西一夫副理事長(京都大名誉教授)は「破堤(決壊)した部分では水を通しやすい砂礫(されき)層も確認している。堤防の強度に問題がなかったかも調べる必要がある」としている。
 報告書では、上流からの土砂が大量に堆積しているため、河川の流量が十分に確保できていないとも指摘。上流の山間部で森林を整備し、河川に流れ込む土砂を抑えることなどが重要としている。