台風19号災害で大規模浸水した長野市の長沼、豊野両地区で、被災後7カ月たっても手付かずの空き家が22軒あることが12日、分かった。市は所有者に代わって解体、撤去する公費解体制度の案内を送付したが、被災前から放置されている空き家が大半で、期限の9月末までに申請が出されるかどうか。建物が傾いて危険だし、泥の臭いも気になる―と周辺住民は懸念する。
市空き家対策室によると、空き家は全て個人所有。所有者の約半数は県外にいて、相続などで権利関係が複雑化している物件もある。公費解体の期限が過ぎれば解体費用は自己負担となり、さらに放置状態が続く可能性が高まる。
2メートル余の浸水被害に遭った長沼地区のある空き家は、壁面に乾いた泥がこびり付き、流れ着いた灯油タンクなども庭に残ったまま。近所の人によると、所有者は10年以上前にいなくなったという。「もう亡くなったと他の人から聞いた」と話す近くの男性(73)は「衛生面だけでなく、景観的にも問題だが、他人の家だから勝手には片付けにも入れない」と漏らす。
別の空き家は数十年前から手入れがされていないといい、台風災害で壁などが一層傷んだ。近くの女性は「被災後も誰も片付けに来ない。何とかしてほしい」と訴える。長沼地区住民自治協議会の会長、西沢清文さん(66)宅近くにも被災後に一部が傾いた空き家がある。西沢さんは「地元としては市を通じて対応をお願いしていくしかない」と話している。
市は、所有者に公費解体などの案内通知を出した空き家について現地確認を実施。倒壊の危険や著しく景観を損なう状態ではないとし、空き家対策特別措置法に基づいて市が修繕や解体を命令できる「特定空き家」には現段階では認められないとしている。
2020年5月13日
被災空き家22軒手付かず 長野市長沼・豊野地区
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