2020年6月12日

越水後避難 半数近く 千曲川堤防決壊 被害世帯アンケート

 国土交通省千曲川河川事務所(長野市)は11日、昨年10月の台風19号で長野市穂保の千曲川堤防の決壊で被害を受けた世帯へのアンケート結果を公表した。避難した人のうち、堤防で越水が始まった10月13日午前1時台以降に避難し始めた人が45%(小数点以下四捨五入、以下同)を占めた。避難者全体の44%は「自宅の状況を確認する」などの理由で、避難後に一度帰宅していたことも判明した。
 国や県、千曲川流域の市町村でつくる「減災対策協議会」の会合で明らかにした。アンケートは2月に実施。堤防決壊で浸水した長沼や豊野地区を中心に1826世帯に郵送、1139世帯(62%)から回答を得た。
 長野市は穂保で越水が始まる約7時間前の10月12日午後6時、危険な場所にいる全員が避難する「避難勧告」を長沼や豊野地区などに発令。だが、避難を始めた時間帯別では、越水が起きたことを伝える「災害発生情報」が出た午前1時台の避難が15%と最多だった。
 避難した理由を聞く項目では、同13日午前0時から4時台に避難した人の40%が「千曲川が越水したと聞いたため」と回答。「避難勧告」を理由に挙げたのは25%。災害が既に発生しているか、発生の危険性が極めて高い状況に出す「避難指示」が40%に上り、避難勧告で原則として全員が避難する意識が浸透していないことがうかがえた。
 アンケートでは長沼、豊野地区以外の被災地なども含め市内計6826世帯にも同様の調査を実施、54%が回答。
 アンケート結果を受けて減災対策協議会は、台風接近などで災害が想定される際、行政や民間の関係機関が取るべき対策を時系列でまとめる「タイムライン」(事前防災行動計画)を作成すると決めた。住民の避難開始遅れの解消にもつなげる。
 千曲川、犀川の流域全体を対象にした「流域タイムライン」と、地区や自治会単位の「コミュニティータイムライン」を作る。流域タイムラインは8月までに作成し、台風接近が本格化する9月から活用する予定。