長野市が、昨年10月の台風19号で被災した後に持病が悪化したなどとして、少なくとも2人を災害関連死と認定したことが15日、分かった。台風19号の災害関連死は今年3月、飯山市内の70代男性が県内で初めて認定されており、2人は千曲川堤防の決壊などで甚大な被害が出た長野市では初となる。この他、上高井郡小布施町にも災害関連死の疑いがあるとして複数の遺族らから相談が寄せられていることが分かった。
関係者によると、長野市の2人はともに決壊した千曲川堤防がある長沼地区の70代男性と80代女性。70代男性は被災した自宅の2階で暮らしていたが、持病の悪化で被災から約1カ月後に亡くなった。80代女性は入所先の施設で被災、避難していた病院や別の施設で慣れない生活を送り、約1カ月後に亡くなった。
長野市にはこれまで、災害関連死の疑いがあるとして遺族らから複数の相談が寄せられていた。市は今年3月、医師や弁護士ら5人でつくる審査会の会合を初開催。災害で生活や医療、介護の環境の激変に伴い、死因となった病気が発生、悪化するなど災害との「相当因果関係」が認められた場合に災害関連死と認定すると決めた。今月、2人の遺族から提出された死亡診断書や生前の体調の変化などを聞き取り、台風19号災害が影響したと認定した。
市福祉政策課は15日、「現時点で公表できることはない」とした。これまでの取材には、遺族の意向を確認した上で公表する方針を示していた。遺族の1人は「あの災害がなければ亡くなることもなかった。もう二度と同じようなことが起きないようしっかり検証してほしい」と話した。
小布施町には、台風19号が影響した災害関連死の相談が昨年12月〜今年1月に寄せられ、町は3月、認定のための審査会を開催。担当者は「現在審査中。遅くとも年内に結論を出したい」としている。
2020年6月16日
長野の2人、災害関連死
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