2020年7月22日

浸水被害の菊 再び芽吹く 「今年こそ花を」

 昨年10月の台風19号で被災した長野市長沼地区で、浸水被害に遭った菊から芽が育ち、長沼小学校の子どもたちが21日、地元の菊の愛好者グループ「長沼秋香会」のメンバーらと植え替え作業をした。同校では会の協力で20年ほど前から毎年、児童らが菊を育ててきたが、昨年は開花前の鉢が被災。今度こそ花を咲かせたい―と4、5年生31人が再挑戦することになり、同会が苗を育てて託した。
 長沼秋香会の会員は現在15人。多くが被災したり地域を離れたりして活動を休止中だが、この日は会長の深瀬允宏さん(79)ら6人が集まり、子どもたちに手ほどき。6月の授業再開後に小鉢に植えた苗は20センチほどに育ち、今回は大鉢に移して水をやった。
 菊の手入れは昨年も4、5年生が担当。今年、子どもたちは泥水に漬かった鉢をきれいにして準備してきた。5年の落合夏鈴さん(10)は、昨年は楽しみにしていた展示会への出品がかなわず悲しかったといい、「今年は災害がなく、明るい花が咲いてほしい」。古岩井結心さん(10)も会に感謝し、「落ち込んでいる人を元気づけるような花に育ったらいいな」と願う。
 深瀬さんの赤沼の自宅は被災後に解体。現在は近くの息子宅に住む。菊の鉢なども全て失い落ち込んだが、浸水した他の会員宅で生き残った菊などから芽をもらい、気持ちを奮い立たせながら育てたという。この中から、「孫のような」4、5年生31人に、1人1本ずつの苗を託した。
 「とにかく咲いてくれたらいい。花を大切にする豊かな心を育んでほしい」と深瀬さん。以前と同じように、咲いた花の前で子どもたちと一緒に写真を撮るのが今の願いだ。

大鉢に植え替えた菊を前に、深瀬さん(手前右)の話を聞く子どもたち