2020年10月 5日

被災地のいま 上田市・東御市 橋の復旧心待ち

 「だいぶ安心になってきた」。東御市本海野の千曲川沿いに住む原田高夫さん(71)は語る。自宅の目と鼻の先にある海野宿橋は、土台と千曲川の護岸が崩れ、橋桁の一部が宙づりに。原田さん宅も庭の一歩先が崩れた。現在、護岸は盛り土の上に新しいコンクリートで覆われ、復旧が進む。
 千曲川の護岸は年度内に完成する見通しだが、海野宿橋の復旧は来年度以降になる見込み。江戸時代の街並みが残る旧北国街道海野宿は、アクセス道路の海野宿橋が通れないため観光客の足が遠のいたままだ。4日も、通りを歩く観光客はまばらだった。
 海野宿の活性化に取り組むNPO法人「海野宿トラスト」は、台風災害から1年の今月に祭りを企画したが、新型コロナウイルスのため中止に。宮下知茂理事長(77)は「早く大型バスが入れるようになって、観光客にこの街並みを見てほしい」とし、海野宿橋の完成を心待ちにする。
 千曲川を8キロほど下ると、災害で一部が崩落した上田電鉄別所線の赤い鉄橋「千曲川橋梁(きょうりょう)」が見えてくる。堤防の崩れた箇所は、6月にコンクリートの護岸が完成。橋の近くで飲食店を営む倉島稔さん(52)は「しっかりとしたものを造ってもらえた。少しずつ安心感が出てきた」と千曲川を見つめた。
 上田のシンボルとも言われる赤い橋は、来年1月末に橋桁を乗せる予定。上田電鉄は来年3月28日の全線運行再開を目指す。国枝聡常務(57)は多くの応援が復旧の後押しになっている―とし、「期待に応えることは私たちの責務。再開に向けて工事を着実に進めたい」と話した。
(高橋幸聖)

復旧が進む海野宿橋(奥)の近くで、工事用フェンス越しに千曲川を眺める宮下さん=4日午前11時、東御市本海野(梅田拓朗撮影)