2020年10月 9日

被災地のいま 長野市長沼・豊野 何とかリンゴ収穫

 8日、長野市長沼地区のリンゴ倉庫。小川奈津美さん(35)が収穫したばかりのリンゴを箱に詰め、出荷作業に精を出していた。
 決壊した千曲川堤防近くにあった自宅は昨年10月の台風19号災害で全壊。同地区で家族と手掛けていた約130アールのリンゴ畑や倉庫も水に漬かり、収穫量は激減した。今年は何とか収穫できたことにほっと胸をなで下ろす。
 だが、河川敷にあった約40アールの畑は諦めた。豊野地区に再建した自宅や長沼の倉庫が再び被害に遭わないかとの不安も募る。「別の場所でリンゴ以外も始めなければと思うのですが、慣れないことを一からやるのも考えられなくて」
 堤防の強化は進み、決壊現場ののり面はコンクリートブロックを並べた上に土がかぶせられた。台風14号が近づいた8日、堤防上には土のうが並び、ブルーシートで覆われていた。
 豊野町豊野では、被災者らの交流拠点「まちの縁側ぬくぬく亭」が被災者宅の訪問活動を続けている。再建が済んだ家にも定期的に訪問し、暮らしぶりや健康状態などを確認するためだ。
 「寒さ対策は大丈夫?」。8日、拠点スタッフの春原圭太さん(32)、宮崎真吾さん(46)が、再建された大日方欣二さん(77)宅を訪ねた。
 妻と暮らす大日方さん。石油ストーブがあると応じ「やっぱり自分の家はいい」と顔をほころばせた。定期的に顔を合わせることで励まされているという。春原さんらが続いて訪ねた神田まさよさん(78)も「災害で多くの物を失ったけれど『ぬくぬく亭』での出会いで宝物を得た」と話した。
 ただ、いまだに家の再建を迷っている人もいるという。春原さんたちは活動を続けていくつもりだ。「被災者それぞれが何を大切にしたいか酌み取り、支えになりたい」(竹越萌子)

千曲川の堤防決壊現場に近い倉庫で家族と一緒にリンゴの出荷準備をする小川さん(左)=8日午前10時18分、長野市津野(梅田拓朗撮影)