2020年10月11日

被災地のいま 中野市 直した家住み続けたい

 中野市でも浸水被害が大きかった千曲川沿いの上今井地区。元会社員の岡田和幸さん(66)の自宅は、玄関を開けると千曲川の堤防が目の前に迫る。昨年10月12日深夜、まだ築6年ほどの自宅は、1階のかもいの付近まで水に漬かった。愛犬を連れて地区の公民館に慌てて避難した記憶がよみがえる。
 市内で公費解体を希望する19件のうち、同地区が11件を占める。岡田さんは、柱以外は全て剥がして改修することを決意し、今年2月になってから1階でも暮らせるようになった。「もともと子どもが少ない上に、住民が地元を離れていく」と地区の将来を案じる。ただ、自身は「生まれ育ったここに住み続けたい」と強く思う。
 近くのながの農協みゆき果実共選所。本来はリンゴの選果作業で忙しい時期だが、建物内はひっそりとしている。水に漬かったコンベヤーなどは全て撤去され、今は飯綱町の共選所などに運ばれるリンゴが持ち込まれる程度。藤木亮所長(45)によると、共選所の復旧は断念。2月ごろ、組合員に伝えたという。
 地区内を流れる本沢川が、千曲川に流れ込む水門近く。台風災害以来、流れ込んだ土砂を取り除いた以外は放置されているとみられるリンゴ畑があった。摘果されていないリンゴはどれも小さく、ピンポン球程度のものも。近くの農業男性(53)は「絡まったつる性植物や枝に雪が積もると重みで折れてしまうだろう。そうでなくても、害虫が枝に入ってしまえば、そこから折れる可能性もある」。残念そうな表情を浮かべた。(吉沢秀樹)

改修を終えた自宅で愛犬とくつろぐ岡田さん=10日午後3時35分、中野市上今井(〓(季の子が人)弘樹撮影)