「まだまだ生活再建には時間がかかる」「地域はどうなってしまうのだろう」。県内で災害関連死を含め死者15人が出た昨年10月の台風19号災害から12日で1年。千曲川堤防の決壊で多くの住宅が浸水被害に遭った長野市長沼地区(大町、穂保、津野、赤沼)では、今も片付けに追われる住民らがこの1年を振り返り、2度と災害が起きない地域であってほしい―と願った。
自宅が全壊判定を受けた団体職員の松沢克彦さん(58)はこの日、市が借り上げたアパート「みなし仮設」から改修中の自宅を訪れ、片付けを続けた。「1年はあっという間だった」。自宅で再び暮らせるのは来年12月ごろになりそう。これまで泥出しなどを手伝ってくれた多くのボランティアたちの姿を改めて思い起こし、感謝を口にした。
1年前のこの日、夕方から穂保区の常会長として近所の住民に避難を呼び掛けた芝波田英二さん(67)は「一時的に避難すれば元通り地域で暮らせると思っていた」と振り返った。自身は改修した自宅に住み続けているものの「悩んだ末に地域を離れた住民もいる。地域はどうなってしまうのか不安ばかりが募る」。
日曜日だった11日には同市穂保の市長沼支所仮設庁舎一帯で「追悼と復興のつどい」があり、被災住民ら約500人が犠牲者を悼んで1分間黙とう。地元の女性らでつくる「長沼こまち太鼓」のメンバー15人は、洪水で流失した後に見つけ、泥を落とすなどした太鼓を鳴らした。
復旧した決壊現場の千曲川堤防では、参加者がそれぞれ思いを託したメッセージカードを添えた赤、黄、白の風船を一斉に飛ばし、大きく手を振った。同市津野の会社員寺田浩之さん(49)は、来春に自宅のリフォームを終える見通しといい「この場所で再スタートし、地域のために動きたい」と力を込めた。
2020年10月13日
風船に託す再建の願い 長野・長沼で「追悼と復興のつどい」

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