信毎 Housing Station
ウッドショック、県内影響ずしり 価格高騰で木材確保苦慮
2021年7月18日(日)

 米国での住宅需要の高まりや中国の景気回復を背景に木材価格が世界的に高騰する「ウッドショック」。県内の工務店や住宅メーカーも、梁(はり)や天井の下地などに使う輸入材の確保に苦しみ、利益を圧縮して材料費の高騰に対応する事業者が出ている。工期の延長だけでは対応しきれず、受注件数を減らさざるを得なくなることへの警戒感が、住宅建築業界に広がっている。

 木造住宅の新築やリフォームを手掛けるアグリトライ(長野市)。7月からの今期の新築案件は8棟だが、木材供給の遅れにより、そのうち2棟の上棟が2週間から1カ月ほど遅れる見通しだ。

 木造住宅の建築事業者の多くは、木材の接合部分を機械加工するプレカット事業者から木材を仕入れる。だが、プレカット事業者が、梁や桁に使うベイマツなど輸入材の調達に苦慮。アグリトライは急きょ、岐阜県から国産プレカット材を調達。担当者は「起きてしまったことは仕方がない。県産材や国産材に変えるなどして対応するしかない」とする。

 昨期20棟ほどの注文住宅を建てた信州ハウジング(上伊那郡箕輪町)は、プレカット事業者からの仕入れ値が昨年と比べて1・4~1・7倍に上がった。値上がり前に契約した施主には値上がり分を建築価格に転嫁できず、自社で負担している。

 全国建設労働組合総連合(全建総連、東京)は5月、長野県を含む28都道県の工務店などを対象に実態調査を実施。調査によると、契約済みの新築案件184件のうち32件(17・4%)は、木材の値上がり分を請負金額に乗せるなどの契約変更ができていなかった。これにより工務店などが負担した費用は1件当たり平均57万円に上る。

 ウッドショックを受け、6月以降、大手住宅メーカーが建築費用を値上げする動きが相次ぐ。ただ全建総連によると、木材の値上がりが急なため、工務店などが住宅の工事請負金額を確定できず、その間に施主が他社に逃げたり、木造住宅をやめたりするケースが各地で出ている。

 こうしたケースを防ごうと、全建総連は5月、施主と事前に「合意書」を取り交わす手法を住宅メーカー向けに公表。合意書は、輸入量の減少や輸入の遅延の影響で、木材の樹種変更や工期の延長があり得ることについて、あらかじめ施主の同意を得る内容だ。県内の工務店約200社が加盟する県工務店協会(松本市)によると、県内の事業者にも合意書を活用する動きが広がっている。

 信州ハウジングは7月下旬ごろから使い始める予定。松田文成社長(49)は「施主がどんな反応をするのか不安な面もあるが、今起きていることを丁寧に説明したい」という。「施主には家を建てる思いを諦めてほしくない。一緒に家を造り上げていく姿勢が大切だ」と力を込めた。

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