信毎 Housing Station
県内基準地価 軽井沢、コロナ下の移住増
2021年9月22日(水)

 21日発表の基準地価で、住宅地では北佐久郡軽井沢町軽井沢の別荘地は地価上昇率13・6%、商業地では北安曇郡白馬村北城が同13・5%で県内1位の上昇率となった。一方、2019年10月の台風19号災害で被災した長野市豊野町豊野の住宅地の地価下落率は県内2番目の4・3%。新型コロナウイルス感染拡大を背景に首都圏などからの移住者の増加が地価を押し上げているのに対し、被災からまもなく2年を迎える地域では災害の影響が続いている。

 軽井沢町内の不動産業者「モリデアイ」の山下てるひ社長によると、地価が高騰している町内にあって西部の地域は比較的手ごろで入手でき、サラリーマン層の戸建て購入が目立つという。町内に開校した幼小中一貫校に子どもを通わせるために一家で移住してくるケースもあり「新型コロナ収束後も、過熱傾向はしばらく続く」とみる。

 別荘地が広がり、億単位の土地取引も珍しくない町東部も動きは活発だ。山下社長によると、これまでハワイなど海外で投資していた「超富裕層」が、新型コロナ拡大を受け帰国した際の拠点として注目。高級別荘や保養施設としての需要は高いという。隣接する御代田町でも地価上昇への転換が鮮明。リモートワーク用などでコンパクトな土地購入を望む若い移住者の需要を当て込み、町外業者が開発するケースが多いという。

 商業地の地価上昇率が県内トップだった白馬村北城のエコーランド区では、英語表記の看板を設けた宿泊・飲食施設が並ぶ。地元不動産業者によると、一帯ではリモートワークを始める移住者の住宅需要やインバウンド(海外誘客)の回復を見越した取引が活発。富裕層の利用を想定した貸別荘や高級志向のレストランの建設工事も進んでいる。

 さくら不動産(白馬村)の橋本旅人社長(43)は、国際的なスノーリゾートとして知られる北海道・ニセコ地区と比べ「実質的な取引価格は10分の1程度」と指摘。首都圏と好アクセスな軽井沢町と比べても割安で「潜在的な伸びしろがあり、向こう5~10年は上昇が続く」とみる。

 一方、下落率で県内2番目となった長野市豊野町豊野は、2019年10月の台風19号災害で被災した住宅が解体され、更地が目立つ。治水などへの不安から他の地域に移り住み、売りに出されている土地も少なくない。

 近くの妻の実家で暮らす山口悦夫さん(70)も全壊した自宅を解体し、土地を売りに出している。周辺が新興住宅地として売り出された約40年前の購入時と比べると、1平方メートル当たりの土地の価格は約3割安くなった。山口さんは「水害に遭った土地はなかなか売れないと思う。売れない間は固定資産税を払い続けなければならないし、被災後の生活には大きな負担となる」と話した。

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