コロナ禍とDV 相談と支援の体制拡充を

長野県 論説 社説
twitter facebook

 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、緊急事態宣言が各地に再発令されている。外出の自粛や在宅での勤務が呼びかけられるのに伴い、あらためて目を向けなければならないのが、ドメスティックバイオレンス(家庭内の暴力、DV)だ。

 2020年度のDVの相談件数は11月までの8カ月間で13万2千件余に達し、過去最多となった。前年度1年間の件数を1万3千件上回っている。全国の配偶者暴力相談支援センターなどに寄せられた相談を内閣府が集計した。

 感染の収束は見通せず、経済活動の落ち込みによる解雇や減収で生活に余裕がない家庭が増えている。家族と過ごす時間が長くなり、いら立ちや不安が暴力に転化して、弱い立場の女性や子どもに向けられがちだ。

 夫婦間の暴力は子どもの虐待と密接に関連する。内閣府が集計したDVの相談では、未成年の子がいる家庭の6割で虐待を伴っていた。女性の自殺が増えていることも、家庭での暴力被害が一因と見られる。状況がさらに悪化するのを防がなくてはならない。

 外出の制限に伴うDVの深刻化は各国が直面する課題だ。国連のグテレス事務総長は昨年4月の声明で、被害の世界的な急増に警鐘を鳴らし、DV対策をコロナ禍への対応の主要項目に位置づけるよう各国政府に促した。

 インターネットを介した支援の拡充のほか、一時保護施設の維持、食料品店や薬局から被害者が緊急通報できる仕組みを具体例として挙げている。政府、自治体はもう一度、国内の対策のあり方を洗い直す必要がある。

 相談、保護、支援の全ての面で現在の体制は不十分だ。市町村はDVの相談員を置いていないところが大半で、一時保護を決める婦人相談所との連携も欠く。窓口でたらい回しにされる、心ない扱いを受ける、といったことをまずなくさなければならない。

 暴力を逃れた被害者は経済的に困窮していることが多い。一時保護の受け入れを広げるとともに、その後の住まいの確保や生活の支援にも力を入れる必要がある。就労が難しい中ではなおさらだ。民間の支援団体の活動を財政面で下支えすることも重要になる。

 もう一つ見落としてはならないのは、女性を暴力にさらされやすい状況に追い込んでいる社会のあり方だ。性差別が根深く残り、女性が自立して生活するのが困難な現状を変えなくては、根本的な解決にはつながらない。

レコメンドニュース

関連記事

長野県 論説 社説