「製糸王」と呼ばれた須坂市の実業家、越寿三郎(1864~1932年)が感染症予防に努めていたと思われる名刺が、市内の「旧越家住宅」に展示されている。宴席で人との接触を避けるための五つの宣言が記されており、約100年前に大流行したスペイン風邪(インフルエンザ)への感染予防の姿勢を周囲に知らせたとみられる。
表に「越寿三郎」と記され、裏には当分の間、▽時間を守る▽酒は全て手酌▽杯のやりとりはしない▽飲食を強要しない▽宴会は1時間限り―の五つの約束を守ると書かれている。作成時期は不明。
越は、新1万円札に肖像が使われる実業家、渋沢栄一(1840~1931年)と親交があった人物だ。市内の郷土研究家、小林謙三さん(87)は「以前は宴席が苦手な越の姿勢を示したものかと思っていた」。しかし、越が活躍した時期はスペイン風邪が大流行しており、人との交流が多い実業家として対処した―との新解釈が浮上した。小林さんは「新型コロナウイルス感染予防に努める現代から見て、適切な対応を発信した越のセンスに感心する」と話す。
入館無料。問い合わせは同住宅(電話026・245・0001)へ。
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