〈社説〉接待問題の拡大 第三者委を設け解明を

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 個人の問題で済ませるわけにはいかない。

 菅義偉首相の長男が勤める放送事業会社による接待問題だ。接待を受けた総務省の職員が、計13人になることが分かった。

 回数は延べ39回に上る。事業会社が長男の影響力を背景に許認可権を持つ総務省に接待攻勢をかけ、官僚側も特例扱いした実態が浮き彫りになったといえる。

 総務省は、うち11人を懲戒処分する方針だ。ただし、それだけでは問題は終わらない。

 まず、聞き取りを中心にした総務省の調査が、信頼できるのかという疑問だ。秋本芳徳・前情報流通行政局長は当初、会食で放送行政に絡む話題はなかったと主張。長男も同様に答えていた。

 それなのに、週刊文春が会話の録音を公開すると双方が主張を一転させた。聞き取りでは真実は明らかにならないだろう。

 焦点は放送行政が不当にゆがめられていないかにある。武田良太総務相はきのうの衆院予算委員会で「確認されていない」と従来の主張を繰り返している。その根拠は、当事者双方の「ゆがめていない」という主張だ。これでは国民の理解は得られまい。

 事業会社の子会社は、総務省から衛星基幹放送事業者の認定を受けている。接待は認定や更新の直前が多い。特例扱いはなかったのか。第三者委員会を設け、事実と事の本質を明らかにするべきだ。

 もう一つは、官僚が接待に応じた理由だ。幹部らは他の放送会社から接待を受けたことはないと説明している。菅首相は総務副大臣、総務相を歴任し、大きな影響力を残す。長男の背後に首相の存在を見ていたとしか思えない。

 首相の責任も大きい。長男は総務相時の秘書官だ。秘書業務で事業会社幹部と知り合い、退任後に入社した。省に許認可権がある企業への入社は天下りに等しい。

 首相はきのうの予算委で、長男が入社する際に「総務省と距離を置くよう注意した」と明らかにした。癒着の危険性を感じていたのか。長男が「別人格」でも、総務省と関係ない企業を選ぶよう、説得することが必要だったのではないか。首相の甘い認識が今回の問題を招いた。

 首相の「身内」が官僚に特例扱いされる構造は、森友・加計学園問題と同様だ。背景には、人事権を通して官僚を支配する安倍・菅政権の権力構造がある。

 行政は公正、公平でなければならない。うみを出し切るには詳細な検証が欠かせない。

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