新型コロナ下改憲 警戒 県内の声 「感染対策の願いにつけ込むな」

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 新型コロナウイルス感染拡大の中で迎えた3日の憲法記念日。県内各地では護憲団体などが集会や街頭アピールなどを行った。緊急事態宣言が4都府県に発令され、自民党内では政府に強大な権限を与える「緊急事態条項」を加えるよう訴える声が上がる。コロナ対策を名目に国や自治体が自由の制限を国民に公然と求める中、集会などの参加者たちは「どさくさ紛れに改憲も進めようとしている」と懸念していた。

 「コロナだから仕方ない、という雰囲気が広がり、治安や政治的な内容にまで(制限が)拡大するのに気を付けなければならない」

 中信地方の市民団体でつくる「本気でとめる戦争!中信市民連合」は3日、憲法記念日に合わせた集会を松本市の花時計公園で開いた。テーマは「新型コロナと憲法―『自由と制限』を考える」。護憲や核兵器廃絶を訴える「世界平和アピール七人委員会」の一員で、宇宙物理学者の池内了(さとる)さんが壇上で声を上げた。

 この日は約250人が参加。松本市の小学校教諭桑山雅徳さん(58)によると、音楽会などの学校行事が新型コロナの影響で中止になったという。コロナ下でさまざまな行動が制限されることについて「自由との兼ね合いは難しい。だけど、際限がなくなってはいけない」と話した。

 緊急事態条項の創設については「条項がなくてもコロナ対策はできるはず」。感染拡大を「改憲にうまく利用しているだけのようだ」とみる。

 安曇野市の主婦村上婦美子さん(70)は感染予防のため、行政の求めに応じて飲食店に行くのを控えている。「コロナは1人では防げない。制限はある程度やむを得ない」。それでも、衆院憲法審査会で憲法改正手続きに関する国民投票法改正案の6日採決が提案されていることには「どさくさに紛れて憲法を変えようとしているように感じる」と批判した。

 諏訪市では諏訪地方の護憲団体や個人でつくる組織「諏訪地方憲法集会」が3日、「諏訪地方憲法フェスティバル」を開いた。日弁連憲法問題対策本部副本部長で弁護士の伊藤真さんが「国民を守るのは軍隊なのか」と題し、憲法9条などをテーマにオンラインで講演するなどした。

 諏訪郡下諏訪町の団体役員、細尾俊彦さん(61)は、憲法に緊急事態条項を加える改憲論は「(コロナ下の)緊急事態宣言と違い、国民の主権制限は大きい」と懸念。「コロナを何とかしてという国民の願いにつけ込む憲法改悪はやめて」と訴えた。

 小松功さん(70)=木曽郡木曽町=は「外国に比べて日本は(外出などの)制限を抑えてきた。皆で議論し、納得して進めるという道徳観が大切だ」と話した。

 須坂市では須高地区の有志でつくる「憲法9条を守る須高連絡会」が、横断幕やパネルを掲げて改憲反対を街頭でアピール。事務局長代行で元高校教諭の坪井一憲さん(64)=須坂市=は「改憲論議ではなく、コロナ対策を優先すべきだ」と訴えた。

 今年1月には上高井郡小布施町で老舗栗菓子店「桜井甘精堂」を営み、須高地区の平和活動を主導してきた桜井佐七さんが93歳で亡くなった。3日は長野市で予定されていた医療従事者によるアピールや、NPO法人「松代大本営平和祈念館」の催しが新型コロナの影響で中止。護憲を訴える場も少なくなった。だが、坪井さんは「それでも声を上げ続けたい」と話した。

市民有志が「新型コロナと憲法」をテーマに開いた集会で話す池内了さん=3日、松本市の花時計公園
諏訪地方憲法フェスティバルで伊藤真さんの講演を聴く参加者=3日、諏訪市の駅前交流テラスすわっチャオ

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