薄れる「復興五輪」の意義 東北から長野県内への避難者「何のためにやるのか」

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 23日の開会式に先立ち、21日に東日本大震災の被災地の福島県や宮城県で一部競技が始まった東京五輪。新型コロナウイルスの感染拡大による無観客試合や、相次ぐ不祥事、準備不足の発覚により当初掲げた「復興五輪」の意義は薄れている。東京電力福島第1原発事故で長野県内に避難した人たちは「何のためにやるのか」と冷めた視線を送った。

 原発事故で福島県いわき市から松本市に自主避難した片寄伸裕さん(60)は「復興五輪は有名無実化している」と厳しい見方を示す。五輪招致の際、同原発の汚染水漏れを巡って安倍晋三首相(当時)が「状況は統御(アンダーコントロール)されている」と述べた時から開催に疑問を感じてきた。

 それでも新型コロナの収束後であれば、多くの人が観戦に訪れて被災地に経済効果をもたらしたかもしれないと思う。だが、実際には感染拡大中の開催となり、この日、福島で始まったソフトボールの試合は無観客。「選手は応援したいし、日本人が活躍すれば誇らしいが、結局、政治に利用されている気がする」と複雑な様子だった。

 同じく原発事故でいわき市から長野市に自主避難した団体職員草野麻理子さん(52)も「選手に罪はないが、喜んで応援する気持ちにはなれない」。原発の安全性についてしっかりと議論されないまま「復興五輪」を掲げる政府に対し「福島を利用している」と違和感を抱き続けてきた。

 福島で行われたこの日の試合を、福島の人たちは会場で見ることはできなかった。草野さんは「何のためにやるのか。今でも本当にやるというのが信じられない」とこぼした。

東京五輪の全競技のトップを切り、無観客で行われたソフトボールの日本-オーストラリア戦=21日午前9時3分、福島市の福島県営あづま球場(中村桂吾撮影)

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