〈社説〉自民党総裁選 「安倍菅政治」の総括から

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 17日に告示される自民党総裁選の構図がほぼ固まった。

 これまでに岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎行政改革担当相の3氏が立候補を表明している。

 特徴的なのは、安倍晋三前首相や党内保守派への配慮とも受け取れる発言が目立つことだ。持論を事実上転換したり、発言を修正したりする場面もある。

 安倍氏は最大派閥の細田派を事実上率いており、保守派への影響力もある。混戦の中、得票につなげたいとの思惑が垣間見える。

 岸田氏は安倍政権の森友学園問題について「さらなる説明をしないといけない」と述べたのに、その後、「再調査は考えていない」と軌道修正した。

 脱原発を掲げていた河野氏は再稼働を認めた。女系天皇容認も撤回し、森友問題の再調査も否定した。高市氏は安倍氏や保守派の意向に沿う主張を展開している。

 今回の総裁選は党員・党友票を含めた本来の形式で行われる。衆院選を目前に控えて党内に「選挙の顔」を選ぶ機運が高まり、議員票にも派閥の締め付けが機能しなくなりつつある。

 候補者は将来の社会像を示し、正面から政策を戦わせることが必要だ。所属議員や党員らは政策本位で票を投じるべきだ。

 議論すべきことは多い。新型コロナウイルス対策は、医療体制の拡充や検査のあり方、出口戦略などが問われるだろう。

 経済政策では、岸田氏は「新自由主義的な政策を転換する」と主張する。中間層の拡大に向けた支援拡大だ。社会に広がる格差の深刻化など、長年続けた政策のひずみは顕著になっている。一方で財源には課題もある。

 エネルギー政策では、河野氏が原発の使用済み核燃料を再処理して使う核燃料サイクル政策の中止を改めて表明した。実現すれば国策の大きな転換になる。

 政治手法も議論になる。安倍、菅政権は国会を軽視し、説明責任に背を向け、質問に答えなかった。異なる意見を配慮せず、時には敵視すらした。強権的な政治手法の問題がコロナ禍で浮き彫りになり、最終的に民意が離れた。

 自民党が政権に復帰してから約8年半。行き詰まりをみせる政治をどう再構築するのか。候補者に求められるのは、安倍、菅両政権を検証し、総括することだ。

 安倍氏の顔色をうかがい、水面下で支持拡大を図ることに注力していては、だれが総裁になっても信頼回復には程遠い。

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