〈社説〉医療的ケア児 格差のない支援の実現を

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 在宅で医療のケアが必要な子ども「医療的ケア児」と家族の支援強化に向けて、国が態勢整備に乗り出している。議員立法で昨年9月に支援法が施行されたのを受けた。

 鼻や腹部からチューブで胃に栄養を送ったり、人工呼吸器を付けたりして生活する子どもたちだ。医療技術の進歩で救命率が上がり、2020年度時点で全国に2万人弱いるとされる。

 世話をする家族の負担は大きい。保育所や学校に通わせたくても受け入れ体制が整っていない場合が多く、付き添いを求められ離職する母親も少なくない。

 子どもたちが等しく教育を受ける機会を保障するためにも、支援策の具体化は急務だ。国がしっかりと道筋を示し、各自治体に行動を促す必要がある。

 支援法は、こうした子どもたちと家族の生活を社会全体で支えるため、国や自治体に適切な対応を取る責務があると明記している。

 これまでに国は、家族の相談に応じる支援センターの設置補助制度を整備。22年度予算案では、学校に配置する看護師の拡充のための経費を盛り込んだ。

 4月の診療報酬改定でも、主治医が緊急時に往診したり、子どもの状況を学校側と共有したりした場合に、報酬を増やす対象を、保育所や高校にも広げる。

 問題は、実際の支援につながるかだ。コロナ禍や高齢化を背景に、看護師は慢性的に人手が足りない。費用を負担し病院やNPOから看護師を派遣してもらう自治体の一方、財政難も重なり取り組みに後ろ向きな自治体もある。

 住む地域によって対応に差が生じないようにするには、国による財政面での後押しが欠かせない。国や自治体で取り組みの状況を共有し、それぞれが差を埋めるための工夫も生み出したい。

 何より、医療的ケア児と家族がどんな支援を必要としているかを把握することが重要だ。

 家族は、昼夜を問わず子どもに寄り添っている。過労や睡眠不足になったり、将来に不安を感じたりして、内にこもり、声を上げられない人もいるだろう。

 まずは各自治体が、早急に地域の実態を調べる必要がある。同時に、家族らの孤立を防ぎつつ、声を吸い上げて支援に生かしていく仕組みを構築できないか。

 地域の取り組みを住民に広く知ってもらうことも大切だ。医療的ケア児への理解を深め、障害や病気の有無にかかわらず共に暮らせる社会づくりにつなげたい。

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