「料理の力」追い求める旅 「世界の台所探検家」として活動するフリーランス・岡根谷実里さん(33)=長野市出身・東京都
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■〈Goingマイウェイ首都圏発〉②
イタリア語で書かれた大判の絵本を手前に広げ、英語を交えながら生徒たちに明るく語りかける。
4月26日、聖学院高校(東京都)の授業で教壇に立った。「世界の市場」と題した絵本は、自身が日本語版の翻訳を手掛けて出版される。「世界の食の様子が描かれている。世界の暮らしを感じ、伝えよう」と呼びかけた。
長野高校(長野市)在学時に受けた地理の授業が世界への関心の入り口だった。ナツメヤシの実の「デーツ」を実際に食べた。古くからの中東圏の主食であることを教わり「知らない世界や味があることにワクワクした」という。
大学、大学院で土木工学を専攻。国際貢献するインフラ整備の技術者を志し、ケニアの農家に3カ月滞在する機会を得る。大型道路建設の計画があった村では、立ち退きを命じられるなど喜んでいる人がいない現実を知った。インフラ整備は本当に自分がやりたいことなのか自問する中、滞在先の家族が必ず笑顔になる夕食時に「料理の力」を感じた。大学院修了後の2014年、「クックパッド」(東京)に入社した。
ウェブアプリ開発などの仕事の合間を縫って、17年から…