ベトナム人実習生の来日前手数料、9割上限超え 派遣会社に支払い

■仲介役への裏金など背景

 外国人の雇用支援に取り組む会社「AIC」(エイアイシー、伊那市)がベトナム人技能実習生や元実習生計332人を対象に、来日前に母国の送り出し機関(人材派遣会社)に払った手数料を調べた結果、9割余の300人がベトナム政府の定める上限(約42万円)を超える金額を払っていたことが18日、分かった。ベトナムの平均月収は2万~3万円。日本で働くため、実習生の多くが重い負担を背負っている実態が浮かんだ。

 日本の受け入れ企業や農家と母国の送り出し機関の間に入り、実習生を仲介しているのが監理団体。ただ、日本から多くの求人を得たい送り出し機関から裏金を渡され、過剰な接待を受ける監理団体の役員もいる。現地では実習生と送り出し機関の間に人材ブローカーが介在し、紹介料が実習生の手数料に上乗せされる事例も。これらは多くの実習生の負担になっている=図。

 AICの調査は昨年1月~今年2月に行った。ベトナム人実習生は来日前の半年、現地の人材派遣会社が運営・委託する全寮制の訓練センターに入る。その際、授業料や食費、寮費などとして手数料を払っており、日本で働くベトナム人の男女166人ずつに、手数料を日本円換算でいくら払ったか聞き取った。

 その結果、平均支払額は約68万円(男性約72万円、女性約65万円)だった。最も高かったのは男性1人の150万円。100万円以上払っていたのは60人(18・1%)に上った。おおむね上限の範囲内で済んでいたのは32人(9・6%)にとどまった。

 調査の対象者は県内を含む全国各地の建設、製造、農業、繊維など幅広い分野で働いており、母国への仕送り額は月平均約10万円。多くは月5万~7万円程度の生活費で暮らしているとみられる。

 AICの小林克規社長は、独自調査した理由を「借金を背負った20歳前後の若者が日本で働いている問題を見て見ぬふりはできない」と説明。「雇用主などの関係者が実習生一人一人の背景に目を向け、技能実習制度の見直しの必要性に気付くきっかけにしてほしい」としている。

    ◇

【技能実習制度】 開発途上国への技術移転といった国際貢献を目的に1993年に創設された。実際には人手不足の産業での安価な労働力確保策になっているとの批判がある。長時間労働や賃金不払い、失踪といった問題が絶えず、実習生の保護などを目的にした技能実習適正化法が2017年11月に施行されたが、在留期間の最大5年への延長など制度は拡大されてきた。厚生労働省によると、21年10月末時点で国内の実習生は35万1788人。国別ではベトナムが最多の20万2218人。

【関連記事】

■ベトナム実習生の手数料問題 「国が受け入れ責任」へ制度転換を

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022061900038

あわせて読みたい