「最後の瞽女」 小林ハルさんとの出会い 稽古する少女が「見えた」【記事朗読の音声あり】
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■いのち響かせて~里枝子さんと越後瞽女唄②
びんと響く声が真っすぐに飛んできました。東御市のラジオパーソナリティー広沢里枝子さん(63)はそれを聞いた瞬間、身震いしました。まるで魂をぶつけてくるようでした。2001年10月、「最後の瞽女(ごぜ)」と呼ばれた小林ハルさんの唄を聞いた時のことです。
「いきなり殴られたか、雷にでも打たれたように、私は声にならない悲鳴を上げて、どうっと涙があふれて、そのまま止まらなくなってしまいました」
瞽女とは、盲目の女性旅芸人。ハルさんは無形文化財保持者で、当時101歳。新潟県胎内市の養護盲老人ホーム「胎内やすらぎの家」で過ごしていました。
かつて険しい峠道を越えた健脚も、今は車いすの生活。里枝子さんはこの日、耳が遠いハルさんの隣に座り、肩に手を触れていました。「ひとつうたってください」と思い切って頼むと、ハルさんは、すうっと背筋を伸ばして1曲うたったのです。
里枝子さんも目が見えませんが、その時、雪に覆われた越後の山河が…