口伝で教わり全身で感じる稽古 精神を継ぎ、個性を味に 【記事朗読の音声あり】

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東御市の自宅でオンライン稽古を受ける広沢里枝子さん=4月

 「今のだと小気味いいけれど、御台(みだい)のせりふは悲しくないと駄目よ」

 「まだ(物語の)イメージができていませんでした」

 4月下旬、越後瞽女(ごぜ)唄に取り組む広沢里枝子さん(63)は、師匠の萱森(かやもり)直子さん(64)の指導を、こんなふうに受けておりました。と申しましても、東御市の自宅のパソコンの画面越し。コロナ禍となりオンラインで稽古を受けています。

 この日は、祭文松坂(さいもんまつさか)(語り物)「山椒大夫(さんしょうだゆう)」のほか、数え唄「ひとつとでたなりや」、民謡「磯節」の3曲を稽古しました。計1時間ほど。それぞれの曲風、長さ、難易度は異なりますし、里枝子さんの仕上がり具合にもばらつきがあります。簡単な曲からだんだんに―ではなく…