庶民の平和な暮らしから生まれた唄 命ある限り伝え続ける 【記事朗読の音声あり】

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綿の豊作を祈ってうたう里枝子さん(中央)=5月、佐久市

 一つ、日も良し正月初め 二つ、二日の晩に夢見が良くて 三つ、三日の晩に…

 晴天に恵まれた5月3日、佐久市の綿畑で、三味線を手に朗々と越後瞽女(ごぜ)唄をうたう広沢里枝子さん(63)=東御市=の姿がありました。綿製品を作る企業と連携して綿の栽培をする地元グループから、種まきの前にうたってほしいと頼まれたのでした。畑を所有する池田好見さん(69)ら10人余が、手拍子や合いの手を入れながら聴きました。

 かつて村々を巡業していた盲目の女性旅芸人「瞽女」。娯楽を提供するだけではなく、豊作を祈ったり、収穫を祝ったりする役割も果たしていたといいます。

 冒頭の「正月祝い口説き」も、よくうたわれた唄。里枝子さんは「瞽女さんが蚕棚にうたえば蚕が良いマユを作る、苗の筋にうたえば、稲が良く育つと…