学術会議の出発点と歴史 〈学術のゆくえ〉隠岐さや香=思索のノート
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先月も話題にした日本学術会議の問題が熱を帯びている。昨年末に政府が日本学術会議法という、同組織の骨格を定める法律を変える方針を示した。だが、方針には学術会議の独立性を脅かしかねない内容が含まれていたため、同会議は方針の再検討を要請した。また、日本医学会連合をはじめとする複数の学会や、「学問と表現の自由を守る会」をはじめ各種市民団体による反対声明が続いている。
これを受けて、1月13日には後藤茂之経済再生担当相が「独立性には手を入れない」と釈明する事態にはなったが、極めて情勢は不透明である。
ここで改めて考えてみたいのは、政府が一体どういう組織に学術会議を変えたいのかということである。その背景にある考え方を理解するにあたり、任命拒否事件直後の2020年12月9日に自民党の「政府決定におけるアカデミアの役割に関する検討PT」(以下自民党PT)が発表した文書は参考になる。
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同文書は学術会議を独立法人にするべきとの主張から始まる。ただし、そこで欧米のアカデミーのように自由な特殊法人をつくるという話にはならない…