〈社説〉大崎事件の再審 なおも扉を開かぬ理不尽

 確定判決に重大な疑義が生じているのは明らかだ。幾度も開きかけたかに見えた再審の扉が固く閉ざされようとしているのは理不尽と言うほかない。

 鹿児島で1979年に起きた大崎事件の再審請求である。福岡高裁宮崎支部が請求を退ける決定を出した。殺人と死体遺棄で懲役10年が確定して服役した原口アヤ子さんは今月で96歳になる。

 義弟にあたる男性が遺体で見つかり、原口さんが親族と共謀して殺害したとされた。物証はなく、有罪の認定を支えたのは親族らの供述や目撃証言だ。

 けれども、親族らの供述はめまぐるしく…