氷河と花々、そして…闘い ナンガパルバットのBCで 〈すぐそこにある未知〉石川直樹=思索のノート

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 無数のハエが頭上で耳障りな羽音をたてている。人が1人やっと立てるくらいの空間に、50匹は確実にいる。ぼくは世界中でさまざまなトイレを利用してきたが、無数のハエの中でふんばるのは、不潔だとか臭いなどという類いの嫌悪感とはまたひと味違う。えもいわれぬ恐怖感が加味されるとでも言おうか。ただ、幸いなことに…