家族3人で営む北アルプス「徳本峠小屋」の日々 来季クラシックルート復旧、登山客増を期待

徳本峠小屋を経営する高橋徳美さん(右)と夫の幸夫さん

 営業を開始から100年が経過した北アルプスの山小屋「徳本(とくごう)峠小屋」は、従業員を雇わずに家族3人だけで経営する小さな山小屋だ。徳本峠は、松本市安曇の島々地区から上高地・明神をつなぐ交通の要所だが、2020年7月の大雨による災害以降、島々からの登山道は使えない状態が続き、峠を訪れる人は減っていた。しかし、登山道の復旧が進み、来季は4年ぶりに島々側からの通行が可能になる。徳本峠小屋は物価高騰など経営への不安が尽きない中、登山道の復旧が宿泊者増につながればと期待している。

 徳本峠小屋は、上高地にある上高地温泉ホテルが1923(大正12)年に開業した。その後は何度か管理者が変わり、昭和50年代には現在のオーナー高橋徳美さんの両親が経営を引き継いだ。現在は徳美さんと夫の幸夫さん、息子の3人で小屋を切り盛りしている。

 山小屋の朝は早い。徳美さん夫妻の起床は午前3時過ぎ。6時台に出発する宿泊者向けに5時半から小屋で朝食を提供。その後、使った布団を干したり、トイレを清掃したり。徳美さんは昼前から夕食の準備を始める。午後1時からは宿泊客やテント場利用者の受け付けを…